管理会計や簿記1級・会計士試験の学習において、セールスミックス差異の計算方法で疑問を持つ受験生は少なくありません。特に「なぜ実際販売量を前提に計算するのか」「予定販売量を基準にした方が自然ではないか」という疑問は頻出です。本記事では、セールスミックス差異の本質から、実際販売量を用いる理由までを順を追って解説します。
セールスミックス差異とは何か
セールスミックス差異とは、複数の商品を販売している企業において、実際の販売構成比率が予算上の販売構成比率と異なったことによって生じる利益差異を表します。
例えば高利益率の商品Aと低利益率の商品Bを販売している場合、総販売量が同じでもAの販売割合が増えれば利益は増加します。
つまりセールスミックス差異は「販売量の差」ではなく、「販売構成比の差」を測定するための差異です。
差異分析で重要なのは要因を分離すること
管理会計の差異分析では、一つの要因だけを測定することが重要です。
販売量差異は「総販売量が増減した影響」を表し、セールスミックス差異は「販売構成比が変化した影響」を表します。
もしセールスミックス差異の計算で予定販売量を使用すると、販売量の増減効果と構成比の変化効果が混在してしまいます。
その結果、本来測定したい構成比変化だけの影響を正確に把握できなくなります。
なぜ実際販売量を固定するのか
セールスミックス差異では総販売量を実際販売量で固定します。
そのうえで「予算上の構成比で売った場合」と「実際の構成比で売った場合」を比較します。
つまり総販売量という条件を同じにして、構成比だけを変化させることで純粋なセールスミックスの影響を測定しているのです。
| 比較対象 | 総販売量 | 構成比 |
|---|---|---|
| 修正予算 | 実際販売量 | 予算構成比 |
| 実際実績 | 実際販売量 | 実際構成比 |
このように販売量を固定することで、構成比だけの差を取り出せます。
予定販売量を使うと何が問題になるのか
例えば予算販売量が1,000個、実際販売量が1,500個だったとします。
この場合、予定販売量を基準にすると販売量増加の影響までセールスミックス差異に含まれてしまいます。
本来であれば販売量増加による利益増加は販売量差異として評価すべきです。
しかし予定販売量を基準にすると、販売量差異とセールスミックス差異が重複して計算される可能性があります。
その結果、差異分析の目的である「原因の特定」ができなくなります。
具体例で考える
商品Aと商品Bがあり、予算構成比が50%ずつだったとします。
実際販売量が1,000個で、実際構成比がA70%、B30%になった場合を考えます。
セールスミックス差異では1,000個という実際販売量を固定し、500個ずつ売れた場合と700個・300個で売れた場合を比較します。
これにより「販売量が1,000個だった」という条件のまま、構成比変化だけを測定できます。
もし予算販売量800個を基準にしてしまうと、販売量増加分200個の影響まで混ざってしまい、純粋な構成比の効果が分からなくなります。
まとめ
セールスミックス差異が実際販売量を前提に計算されるのは、販売量差異とセールスミックス差異を明確に分離するためです。
差異分析では一度に一つの要因だけを測定することが重要であり、総販売量を実際販売量で固定することで構成比の変化による影響だけを抽出できます。
予定販売量を基準にすると販売量増減の影響が混在してしまい、差異分析の目的である原因分析ができなくなるため、実際販売量を前提として計算する仕組みになっています。


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