「退職届」と「退職願」は何が違う?会社が“願”を出させたがる理由をわかりやすく解説

退職

会社を辞める際、「退職届ではなく退職願を書いてください」と言われて疑問に感じる人は少なくありません。どちらも最終的には退職する書類なのに、「なぜ会社は“願”にこだわるのか?」と思うのも自然です。

実際、退職願と退職届は名前が似ていますが、法律的・実務的には意味合いが少し異なります。

また、会社側が退職願を使いたがる背景には、単なる慣習だけでなく、“会社側の管理しやすさ”や“手続き上の都合”も関係しています。

この記事では、「退職願」と「退職届」の違いや、会社が退職願を求める理由について整理していきます。

「退職願」と「退職届」は意味が少し違う

まず最も大きな違いは、“お願い”なのか、“通知”なのかという点です。

書類 意味合い
退職願 退職したいという申し出
退職届 退職を正式に通知する書類

退職願は、「退職させていただきたくお願い申し上げます」というニュアンスが強い書類です。

一方、退職届は、「退職します」と意思表示する通知に近い性格があります。

そのため、会社によっては「まず退職願を提出→承認後に正式処理」という流れを取る場合があります。

つまり、“願”は相談・申し出寄り、“届”は確定通知寄りなのです。

会社が「退職願」を出させたがる理由

会社が退職願を求める理由としては、実務上の管理がしやすいという点があります。

例えば、退職届をいきなり提出されると、“退職確定”として扱われやすくなります。

一方で退職願なら、会社側としては「受理前の調整余地」が残ります。

具体的には、以下のような事情があります。

  • 引き継ぎ期間を調整したい
  • 退職日を相談したい
  • 慰留の余地を残したい
  • 社内承認フローを通したい

つまり、会社側としては「いきなり確定されるより、まずは申し出として扱いたい」という感覚があるのです。

特に日本企業では、“合意形成”を重視する文化もあり、退職願が慣習的に使われている会社は現在でも多くあります。

「退職願」だから会社が拒否できるわけではない

ただし、ここで誤解されやすいのが、「退職願なら会社が辞めさせないようにできるのでは?」という点です。

実際には、正社員の退職は法律上かなり強く認められています。

民法では、期間の定めのない雇用契約であれば、原則として退職意思表示から2週間で退職可能とされています。

つまり、会社が「認めない」と言っても、法律上は退職そのものを完全に拒否することは基本的に難しいです。

そのため、退職願を求められたとしても、「会社の許可がないと絶対辞められない」という意味ではありません。

ただし、就業規則で“1か月前申告”などが定められている場合もあり、現実には引き継ぎやトラブル回避のため調整されることが多いです。

会社によっては単なる“慣習”の場合もある

実際には、「退職願」という名称に深い意味がない会社もあります。

昔からの社内書式がそのまま残っているケースもかなりあります。

特に年配管理職が多い会社では、「退職=退職願」という認識が強く、深く考えずその表現を使っている場合もあります。

そのため、必ずしも「社員をコントロールしたいから願を書かせる」というわけではありません。

一方で、ブラック企業的な環境では、“願”という言葉を使って心理的に引き止めを行うケースもゼロではありません。

ただ、多くの一般企業では、「社内ルール上そうしている」程度の意味合いであることが多いです。

実際はどちらを出すべき?

現実には、会社から指定された形式に合わせる人がほとんどです。

円満退職を目指す場合、まず退職願を提出し、その後正式処理に入る流れは珍しくありません。

ただし、以下のような場合は退職届を直接出すケースもあります。

  • 退職を強く拒否されている
  • 話し合いが進まない
  • ハラスメントがある
  • 即時に意思表示を明確化したい

つまり、退職願と退職届は“どちらが偉い”というより、状況によって使われ方が変わる書類とも言えます。

通常の円満退職では退職願、トラブル時は退職届という使い分けをする人もいます。

まとめ

「退職願」と「退職届」は似ていますが、退職願は“申し出”、退職届は“正式通知”という違いがあります。

会社が退職願を求めるのは、退職日調整や引き継ぎなど、社内手続きを進めやすくするための場合が多いです。

また、日本企業では昔から退職願を使う文化が残っているケースも多く、必ずしも悪意があるわけではありません。

ただし、法律上は労働者に退職の自由があるため、「退職願だから辞められない」ということではありません。

最終的には、円満退職を目指すか、トラブル対応が必要かによって、実務上の使い分けがされているのが実情です。

[参照] 厚生労働省 労働条件に関する情報

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