一級建築士試験の法規分野では、既存建築物への増築に関する構造規定の適用範囲が非常に分かりにくく、特に令和2年の問題12のような事例では判断が割れやすい論点が出てきます。
条文構造(建築基準法第3条・施行令137条の2など)と問題文の条件整理がズレることで、選択肢の正誤判断に混乱が生じやすい典型例です。
問題の核心は「既存建築物への構造規定の適用範囲」
この問題のポイントは、増築の規模によって既存部分に現行の構造規定が適用されるかどうかという点にあります。
建築基準法では、既存建築物に対しては原則として既存不適格として扱われますが、増築の規模によっては遡及的に規定が適用される場合があります。
その境界を決めるのが施行令137条の2であり、増築割合や構造的影響の有無が判断基準になります。
施行令137条の2の基本構造
施行令137条の2では、増築の規模に応じて既存部分への規定適用が変わります。
特に重要なのは「増築が1/20を超えるか」「延べ面積の1/2を超えるか」という2つの基準です。
この条件により、既存部分まで現行規定が及ぶケースと、増築部分のみで完結するケースが分かれます。
選択肢1と2で判断が分かれる理由
選択肢1と2の違いは「適用される規定の読み替え範囲」にあります。
一見するとどちらも同じ増築条件に見えますが、適用条文の解釈において「既存部分に現行規定が及ぶか」「増築部分のみで評価するか」という前提が異なっています。
そのため、単純な面積比だけでなく、条文上の評価対象の違いが正誤を分けています。
「2も正しいのでは?」という疑問の整理
一見すると選択肢2も合理的に見えますが、法規の問題では条文適用の厳密性が優先されます。
特に建築基準法では「耐久性等関係規定」と「構造耐力規定」の適用範囲が異なり、問題文の条件設定と完全一致しない場合は誤りと判断されます。
つまり直感的な合理性ではなく、条文要件との一致が正誤の決定基準になります。
学習上のポイント
この問題のようなケースでは、数字の大小よりも「どの条文がどの範囲を支配しているか」を整理することが重要です。
また、既存不適格建築物の増築は頻出論点であり、施行令137条の2の構造を図式化して覚えると理解が安定します。
条文の“適用対象の切り分け”を意識することが得点力向上の鍵になります。
まとめ
一級建築士の法規問題では、増築に伴う既存建築物への規定適用範囲が重要な論点となります。
令和2年問題12も、面積条件だけでなく条文の適用関係を正確に読み取れるかがポイントです。
数字の一致ではなく「どの規定がどこに適用されるか」という構造理解が正誤判断の本質になります。


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