退職理由は「スキルアップ」でOK?家の都合と嘘をつく必要はある?退職時期と就業規則1か月前のルールも解説

退職

退職を決めたときに意外と悩みやすいのが、会社に何と伝えるかという退職理由です。特に勤続年数が短く、職場への不満を詳しく話したくない場合は、「スキルアップのため」と正直に伝えるべきか、「家庭の事情」など別の理由を使うべきか迷うことがあります。

さらに、就業規則には「退職日の1か月前までに申し出る」と書かれている一方で、法律上は2週間で退職できると聞くと、実際にどちらを優先すればよいのかも気になるところです。

この記事では、退職理由をどこまで説明すればよいのか、穏便に退職するための伝え方、無期雇用と有期雇用で異なる退職ルール、就業規則より早く辞めたい場合の考え方を、厚生労働省の資料などを参考に整理します。

退職理由は詳しい事情まで説明する必要があるのか

退職理由を伝える際に大切なのは、会社に退職の意思を伝えることと、退職に至った個人的な事情をすべて説明することは別だと考えることです。転職やキャリア上の方向転換など、本人の判断による退職であれば、必要以上に詳細な事情を話す必要はありません。

たとえば「今後のキャリアについて考えた結果、別の分野に挑戦したいと考えました」という説明なら、転職先の詳細や現在の職場への不満を明かさなくても退職の意思を伝えられます。

特に今後も円満な関係を維持したいのであれば、過去の不満を一つ一つ並べるよりも、将来に向けた前向きな理由として整理したほうが話し合いを進めやすいでしょう。

「スキルアップしたい」という退職理由は自然な伝え方

異業種への転職を考えている場合でも、「新しい分野に挑戦したい」「これまでとは違うスキルを身につけたい」といった説明は不自然ではありません。退職理由は、必ずしも現在の会社への不満を中心に説明する必要はありません。

たとえば「現在の仕事で経験を積む中で、以前から興味を持っていた分野に挑戦したいという気持ちが強くなりました。今後のキャリアを考え、転職を決めました」とすれば、会社を批判することなく退職の意思を説明できます。

一方で、実際には家庭の事情がないのに「家の都合です」と具体的な事情を作ってしまうと、後から説明のつじつまを合わせる必要が出てくる場合があります。穏便に辞めたいのであれば、嘘を重ねるよりも、事実の範囲内で簡潔に伝える方法が扱いやすいでしょう。

退職理由で会社への不満を全部伝える必要はない

職場で腹立たしい出来事があったとしても、それを退職時にすべて伝えなければならないわけではありません。退職理由を説明する場面と、会社に改善を求める場面は分けて考えることができます。

たとえば「人間関係が悪かった」「会社のやり方に納得できなかった」と感じていたとしても、退職時には「今後のキャリアを考え、別の分野に挑戦することにしました」とまとめることができます。

逆に、ハラスメントや未払い賃金など、会社に伝えること自体に意味がある重大な問題がある場合は、単なる退職理由とは別の問題として記録を残したり、専門機関へ相談したりすることも検討できます。

正社員など無期雇用なら2週間で辞められるのか

期間の定めのない雇用契約の場合、民法627条1項では、労働者が退職を申し入れた場合、原則として申入れから2週間が経過すると雇用契約が終了するとされています。厚生労働省も、一般的な無期労働契約について、少なくとも2週間前に退職の申し出をすれば法律上は退職できると説明しています。[厚生労働省の資料]

ただし、就業規則に「退職する場合は1か月前までに申し出ること」などの規定が置かれている会社もあります。厚生労働省の資料でも、就業規則に退職手続が定められている場合は、その内容が合理的であれば従う必要があると説明されています。[厚生労働省の退職手続に関する資料]

そのため、「法律上2週間だから必ず2週間で問題ない」と単純に判断するのではなく、雇用契約の内容、就業規則、給与形態、会社との合意の可能性などを確認することが大切です。

9月11日に申し出て9月末退職は可能なのか

9月11日に申し出て9月末を退職日にしたいというケースでは、まず会社にその希望日を伝えて、合意退職として調整できるか確認するのが穏当です。会社側が了承すれば、就業規則に定められた1か月より短い期間でも、双方の合意によって退職日を設定できる場合があります。

一方、会社が「1か月前でなければ認めない」と主張した場合は、無期雇用なのか有期雇用なのかによって法的な扱いが変わるため注意が必要です。厚生労働省も、期間の定めのない雇用契約と期間の定めのある雇用契約では退職のルールが異なると説明しています。[厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」]

また、退職に関する就業規則の効力については、民法627条をどう解釈するかを含めて見解や裁判例があるため、会社と対立する場合には個別事情を踏まえて判断する必要があります。厚生労働省の労働局も、就業規則と民法の関係について複数の考え方があることを案内しています。[茨城労働局の解説]

「1か月ないと無理」と言われたときの対応

会社から「1か月前でないと無理」と言われた場合、最初から法律論で対抗するより、まずは退職希望日と事情を落ち着いて説明し、会社と調整する方法が現実的です。

たとえば「就業規則については承知しています。可能な限り引き継ぎを行いますので、9月末での退職についてご相談させていただけないでしょうか」と伝えれば、会社側と話し合う余地を残せます。

それでも会社が退職そのものを認めない場合は、無期雇用か有期雇用か、就業規則にどのような規定があるかなどを確認したうえで、労働局などの相談窓口を利用する方法があります。厚生労働省は、無期雇用について、会社が同意しなくても民法上の退職が可能であることを案内しています。[厚生労働省の退職手続資料]

円満退職を目指すなら引き継ぎを具体的に準備する

退職日について会社と交渉するとき、説得材料になりやすいのが引き継ぎの準備です。退職日までに何を終わらせ、誰に何を引き継ぐのかを整理しておくと、会社側も退職後の業務をイメージしやすくなります。

たとえば、担当案件の一覧、現在の進捗、今後必要になる作業、関係者の連絡先、保管場所などをまとめておけば、短い期間でも引き継ぎを進めやすくなります。

退職理由についても、余計な不満を話すのではなく、「キャリアの方向性を変えたい」という軸で簡潔に説明し、最後まで仕事を整理する姿勢を見せることで、感情的な対立を避けやすくなります。

退職理由と退職日の問題は分けて考える

「何と言えば怒られないか」と「いつ退職できるのか」は、実は別の問題です。退職理由を穏便に伝えることと、退職日について会社と調整することを分けて考えると、必要以上に悩まずに済みます。

退職理由については、事実に反する具体的な事情を作るより、「今後のキャリアを考えた」「別の分野に挑戦したい」など、実際の転職目的に沿った説明にするとよいでしょう。

退職時期については、まず雇用契約が無期か有期かを確認し、就業規則の退職手続も確認します。そのうえで希望する退職日を会社に伝え、合意できるかを相談するのが、穏便な進め方の一つです。

まとめ

退職時には、会社に納得してもらうために個人的な事情をすべて話したり、事実ではない家庭の事情を作ったりする必要はありません。異業種への転職など、実際の事情に合わせて「今後のキャリアを考え、新しい分野に挑戦したい」と簡潔に伝える方法があります。

また、無期雇用の場合は民法627条による退職ルールがありますが、就業規則や雇用契約との関係もあるため、「2週間だから必ず大丈夫」と決めつけず、会社との調整を含めて進めることが重要です。

特に9月11日に申し出て9月末に退職したいというように具体的な希望がある場合は、まず退職希望日を明確に伝え、引き継ぎ計画を示しながら合意を目指すのが穏当です。会社との話し合いで解決しない場合や、退職手続について法的な判断が必要な場合は、労働局などの公的な相談窓口を利用すると安心です。

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