簿記で小切手を振り出した時の仕訳は現金ではない?当座預金になる理由を解説

会計、経理、財務

簿記の仕訳問題では、小切手を使った取引で「現金」と「当座預金」のどちらを使うのか迷うことがあります。特に、小切手で支払ったという文章を見ると、実際のお金のやり取りをイメージして現金勘定を使いたくなる人も多いですが、簿記では小切手の扱いに特有のルールがあります。この記事では、小切手を振り出した場合の仕訳方法と、なぜ現金ではなく当座預金になるのかを具体例を交えて解説します。

小切手で支払った場合に使う勘定科目とは

簿記では、会社が小切手を振り出して支払いをした場合、基本的には「当座預金」を減少させます。

小切手は現金そのものではなく、銀行に対して「この金額を相手に支払ってください」と指示する証券です。会社が小切手を発行すると、後日その小切手が銀行で換金され、会社の当座預金口座からお金が引き出されます。

そのため、仕訳では現金ではなく、銀行預金の一種である当座預金を使用します。

なぜ小切手なのに現金勘定ではないのか

簿記初心者が混乱しやすいポイントは、「小切手を渡した=お金を払った」という日常感覚です。しかし、簿記上の現金とは、紙幣や硬貨だけではなく、通貨代用証券なども含めた特定の範囲で扱われます。

ただし、会社が自分で振り出した小切手を支払いに使った場合は、すでに会社の手元にある現金ではありません。銀行口座から支払われるため、当座預金の減少として処理します。

例えば、会社が取引先へ10万円の小切手を渡した場合、会社の財布から現金10万円がなくなるわけではありません。その小切手が銀行に持ち込まれた後、会社の当座預金から10万円が引き落とされます。

問題文の仕訳を考えてみる

今回の問題では、「従業員が負担すべき当月分の生命保険料8,000円を小切手を振り出して支払った」とあります。

この時点では、会社が従業員の代わりに生命保険料を支払っています。そのため、会社から見ると従業員に後から返してもらう金額になります。

つまり、従業員に対する立替金が発生するため、借方は「従業員立替金」となります。

そして、小切手を振り出して支払ったため、会社の当座預金が減少します。したがって貸方は「当座預金」です。

仕訳は以下のようになります。

借方 金額 貸方 金額
従業員立替金 8,000円 当座預金 8,000円

給与から差し引く場合の処理との関係

問題文には「当月末にこの生命保険料は従業員の給料から差し引くこととした」とあります。

これは、会社が一時的に立て替えた8,000円を、後で従業員の給与500,000円から回収するという意味です。

給与支払い時には、従業員立替金を減少させる処理を行います。例えば給与から8,000円を控除する場合、従業員へ支払う給与額は492,000円になります。

このように、最初に立替処理をしておくことで、後から給与控除による回収を正しく記録できます。

小切手に関する簿記の覚え方

小切手の仕訳で迷った場合は、「誰が振り出した小切手なのか」を考えることが重要です。

会社が振り出した小切手で支払った場合は、基本的に当座預金を減らします。一方で、他人から受け取った小切手を現金化する場合などは、現金として処理する場面があります。

例えば、商品を販売して代金として得意先から小切手を受け取った場合、その小切手は現金同等物として扱われ、現金勘定を使用します。

つまり、「小切手=必ず現金」ではなく、「自分が振り出した小切手なのか、受け取った小切手なのか」で判断すると理解しやすくなります。

まとめ|自分が振り出した小切手は当座預金で処理する

簿記では、小切手による支払いを見た時に、すぐ現金勘定を使わないことが大切です。

会社が小切手を振り出して支払った場合、その後銀行口座から支払われるため、貸方は当座預金になります。

今回の問題では、従業員の生命保険料を会社が一時的に負担したため借方は従業員立替金、そして小切手払いによって当座預金が減少するため貸方は当座預金となります。

小切手の仕訳は日商簿記でも頻出の論点なので、「振り出した小切手は当座預金」「受け取った小切手は現金扱いになる場合がある」という基本ルールを押さえておくと、問題を解きやすくなります。

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