会社の人事制度変更によって、基本給を下げ、その差額を調整給や調整手当で補うケースがあります。給与総額が変わらないため問題ないように見える一方で、「なぜ基本給だけ下げられるのか」「昇給しても調整給が減るだけなのは違法ではないのか」と疑問を持つ人も少なくありません。
この記事では、基本給と調整給の違い、人事制度変更で調整給を利用する理由、違法になるケースとならないケースについて、労働者が確認すべきポイントを分かりやすく解説します。
基本給を下げて調整給で維持する制度とは
会社が給与制度を変更する際、従来の基本給を新しい給与体系に合わせて変更し、その差額を「調整給」「調整手当」などの名称で支給することがあります。
例えば、以前の基本給が30万円だった社員が、新制度では基本給25万円になった場合、差額の5万円を調整給として支給することで、毎月の支給額を30万円に維持する仕組みです。
このような制度は、給与水準を急激に変化させないための経過措置として利用されることがあります。特に給与体系や等級制度を大きく変更する企業では見られる方法です。
なぜ基本給ではなく調整給に置き換えるのか
会社が基本給を変更する理由の一つは、人事評価制度や給与テーブルを整理するためです。職位や役割ごとの給与水準を新しい基準に合わせる目的で、基本給の構成を変更することがあります。
また、基本給は賞与や退職金の計算基準として使われることが多いため、会社によっては制度設計を変更する目的で基本給と手当を分ける場合があります。
例えば、旧制度では年齢や勤続年数による昇給が中心だった会社が、新制度では役割や成果を重視する制度へ変更する場合、給与項目そのものを見直すことがあります。
基本給の減額が違法にならない理由
基本給を下げる行為は、必ず違法になるわけではありません。会社には就業規則や賃金制度を変更する権限がありますが、労働者に不利益な変更をする場合には一定の条件が必要です。
労働条件の変更では、変更の必要性や内容の合理性、労働者への説明状況などが重要になります。単に会社の都合だけで一方的に給与を下げることは認められない可能性があります。
一方で、給与総額を維持しながら制度変更のために調整給を設定し、社員への影響を抑えている場合は、合理的な制度変更として扱われることがあります。
昇給しても調整給が減る仕組みは問題ないのか
調整給が設定されている場合、昇給した分だけ調整給が減り、しばらく給与総額が変わらない仕組みになることがあります。
例えば、基本給25万円、調整給5万円の社員が昇給によって基本給27万円になった場合、調整給が3万円に減り、合計額が30万円のままになるケースです。
この仕組み自体は、調整給の性質や会社の給与規程によっては違法とは限りません。調整給が「旧給与との差額を補償するための一時的な手当」と定められている場合、基本給上昇分と相殺される設計もあります。
確認しておきたい就業規則や給与規程のポイント
基本給の変更や調整給の扱いに疑問がある場合は、まず会社の就業規則や給与規程を確認することが大切です。
特に以下の点を確認すると、制度変更の内容を理解しやすくなります。
- 調整給が何の目的で設定されているか
- 将来的に減額される予定があるか
- 昇給時に調整給が減る規定があるか
- 賞与や退職金計算に基本給がどのように影響するか
例えば、会社から「給与は変わりません」と説明されていても、基本給が下がることで将来的な賞与や退職金に影響する場合があります。そのため、月給だけではなく長期的な影響を見ることが重要です。
不利益変更が疑われる場合の対応方法
もし基本給の変更について十分な説明がなく、実質的に給与が下がっている場合は、会社へ制度変更の根拠や説明を求めることができます。
確認する際は感情的に「違法ではないか」と追及するより、「給与規程上、調整給がどのような扱いになるのか」「今後の昇給や賞与への影響はあるのか」と具体的に質問すると話が進みやすくなります。
会社との話し合いで解決しない場合は、労働局の相談窓口や労働問題を扱う専門家へ相談する方法もあります。
まとめ|調整給による給与維持は違法とは限らないが確認は必要
基本給を下げて調整給で給与総額を維持する制度は、企業の給与制度変更で利用されることがあり、それだけで直ちに違法になるわけではありません。
ただし、基本給は賞与や退職金などにも影響する重要な項目です。調整給によって一時的に給与が維持されていても、長期的な待遇がどう変化するのかを確認する必要があります。
人事制度変更に納得できない場合は、就業規則や給与規程を確認し、会社から十分な説明を受けたうえで、自分の労働条件への影響を判断することが大切です。


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