複数の営業所や部署を持つ会社では、「この経費はどこで計上するべきなのか」という判断に迷う場面があります。特に総務担当者が経理業務も兼任している場合、単純に利用した人や場所だけで判断してよいのか悩むことも少なくありません。
経費計上の考え方には、単に「誰が使ったか」だけではなく、「何の目的で発生した費用なのか」という視点があります。この記事では、営業所ごとの経費と本社経費を分ける基本的な考え方について、具体例を交えながら解説します。
経費を計上する場所は利用者だけで決まるわけではない
経費処理では、「その費用を誰が使ったのか」「どの部署の人が利用したのか」という視点はもちろん重要です。しかし、それだけで計上先を決めると、本来の費用管理とは異なる結果になる場合があります。
会社では、発生した費用を正しく管理するために、「その支出がどの範囲の利益や活動に関係しているか」を基準に判断することがあります。これを費用の帰属や費用配賦の考え方といいます。
例えば、営業所Aの社員が使用した備品でも、その備品が全社共通で利用されるものなら、本社経費として扱う場合があります。一方で、その営業所だけで使用するものなら営業所経費になることがあります。
会社全体のために発生した費用は本社経費になりやすい
資格講習や法令対応に関する費用などは、特定の営業所の利益だけではなく会社全体の運営に必要なものとして扱われることがあります。
例えば、運転管理者の資格取得や安全管理に必要な講習費用は、その社員が所属している営業所だけのためではなく、会社が事業を継続するために必要な費用と考えられる場合があります。
そのため、実際に受講した社員が営業所所属であっても、「会社全体の管理体制を維持するための費用」として本社経費に計上するケースがあります。
健康診断費用が営業所経費になる理由
一方で、健康診断は法律上会社に実施義務があるため、一見すると全社共通の費用に見えます。しかし、会社によっては営業所ごとの人件費や採算管理のために、所属する従業員の健康診断費用を各営業所へ計上することがあります。
これは健康診断そのものの目的が全社員の健康管理であっても、費用管理上は「各営業所で勤務している社員を維持するために必要な費用」と考えるためです。
例えば、東京営業所に所属する社員10名、大阪営業所に所属する社員20名が健康診断を受けた場合、それぞれの営業所に人数分の費用を計上すると、各拠点が抱える人件費関連コストを正確に把握できます。
同じ会社の費用でも判断が変わるポイント
経費計上の判断では、「会社全体に関係するか」「特定の部門や営業所に関係するか」が大きなポイントになります。
| 費用の例 | 考え方 | 計上先の例 |
|---|---|---|
| 全社員向けシステム利用料 | 全社運営に必要 | 本社経費 |
| 特定営業所の備品購入 | その拠点だけで使用 | 営業所経費 |
| 営業所社員の健康診断 | 所属社員の管理費用として扱う | 営業所経費の場合あり |
| 法令対応や資格維持費 | 会社運営上必要 | 本社経費の場合あり |
ただし、これはあくまで一般的な考え方であり、実際の処理方法は会社の管理会計のルールによって異なります。同じ健康診断費用でも、本社負担として処理する会社もあれば、営業所負担にする会社もあります。
経理担当者と認識を合わせるために確認すべきこと
総務担当者が経理処理を行う場合、個別の判断を覚えるだけではなく、「自社ではどのような基準で経費を分類しているのか」を確認することが大切です。
例えば、「社員が所属している部署で判断するのか」「費用の目的で判断するのか」「営業所ごとの利益管理のために配賦しているのか」を確認すると、今後似たような処理で迷いにくくなります。
また、経理担当者に質問するときは、「この費用は誰が使ったかではなく、目的で判断するという理解で合っていますか」など、判断基準そのものを確認すると、自分でも応用できる知識になります。
まとめ:経費計上は利用者ではなく目的と管理方法で決まる
営業所ごとの経費か本社経費かを判断するときは、「誰が使ったか」だけではなく、「何のために発生した費用なのか」を考えることが重要です。
会社全体の運営や法令対応に必要な費用は本社経費として扱われることがあり、一方で社員や営業所単位の管理コストとして把握したい費用は営業所経費になることがあります。
経理処理には会社独自のルールも多いため、納得できない処理があった場合は、その都度覚えるよりも「自社では何を基準に分類しているのか」を理解することが、今後の業務に役立ちます。


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