簿記の学習では、売掛金の回収時に振込手数料が差し引かれて入金されるケースがよく出題されます。実際の取引でも、取引先が振込時の手数料を差し引いて支払うことは珍しくありません。
このような場合、なぜ売掛金10,000円に対して当座預金9,500円と支払手数料500円になるのか、また支払手数料がどのような費用になるのかを理解すると、同じ形式の問題にも対応できるようになります。
売掛金10,000円なのに入金額が9,500円になる理由
売掛金とは、商品やサービスを販売した際に、後日代金を受け取る権利のことです。例えば、取引先へ商品10,000円を掛けで販売した場合、販売時には以下のような仕訳になります。
借方:売掛金 10,000円
貸方:売上 10,000円
その後、取引先が代金を振り込む際に、振込手数料500円を差し引いて9,500円だけ振り込んできた場合、銀行に入った金額は9,500円ですが、売掛金は本来10,000円分を回収したことになります。
つまり、差額の500円は誰かが負担する必要があり、このケースでは売掛金を持っている側、つまり販売した側が振込手数料を負担したと考えます。
振込手数料を負担した場合の仕訳
問題の仕訳は以下のようになります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 9,500円 | 売掛金 | 10,000円 |
| 支払手数料 | 500円 |
この仕訳の考え方は、売掛金10,000円を消し込むために、実際の入金額9,500円との差額500円を費用として処理するというものです。
例えば、10,000円の商品代金を回収する予定だったのに、銀行口座へ9,500円しか入っていなければ、残り500円は未回収の売掛金ではありません。取引先が振込手数料として使用した金額なので、自社の費用として処理します。
支払手数料は営業費になるのか
支払手数料は、会社が事業活動を行うために発生する費用の一つです。簿記では一般的に「販売費及び一般管理費」に含まれる費用として扱われます。
例えば、銀行振込手数料、仲介手数料、専門家への報酬など、サービスを利用するために支払う手数料は支払手数料という勘定科目で処理します。
そのため、問題文にある「その他営業費500」という表示は、試験問題や教材によって表現が異なる場合がありますが、意味としては営業活動に関係する費用として処理していると考えられます。
振込手数料を相手が負担する場合との違い
振込手数料の処理は、誰が負担する契約になっているかによって変わります。
例えば、販売先との取り決めで「振込手数料は相手負担」となっている場合、通常は売掛金10,000円がそのまま入金されます。この場合、自社側で支払手数料を計上する必要はありません。
一方で、今回のように相手が勝手に500円を差し引いて9,500円だけ振り込んできた場合は、結果的に自社が負担した形になるため、支払手数料として処理します。
簿記試験で間違えやすいポイント
このような問題では「入金された金額だけを見て売掛金9,500円を回収した」と考えてしまうミスが起こりやすいです。
しかし、売掛金の金額は販売時に計上した10,000円です。回収時には、その10,000円をなくす仕訳を考える必要があります。
覚え方としては、「売掛金の全額を消す」「足りない分は手数料などの費用」と考えると整理しやすくなります。
例えば、売掛金20,000円に対して19,000円しか入金されなかった場合も、差額1,000円を支払手数料として処理し、売掛金20,000円を消去します。
まとめ|振込手数料を差し引かれた入金は費用処理する
売掛金10,000円に対して当座預金9,500円しか入金されなかった場合、差額500円は振込手数料として自社が負担したものと考えます。
そのため仕訳は「当座預金9,500円」「支払手数料500円/売掛金10,000円」となります。
支払手数料は営業活動で発生する費用であり、販売費及び一般管理費に分類されます。簿記では、入金額だけを見るのではなく、売掛金をいくら回収したのかという視点で仕訳を考えることが重要です。


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