建設業を営む会社では、公共工事の入札に関わる経営事項審査(経審)の点数を上げるために、社員へ資格取得を求めることがあります。しかし、「すでに1級資格を取得して監理技術者登録もしている場合、さらに資格を取る意味はあるのか」「技術職員1人あたりの点数には上限があるのか」と疑問に感じる方も多いでしょう。この記事では、経営事項審査における技術職員評価の考え方や、資格取得がどのように点数へ影響するのかを分かりやすく解説します。
経営事項審査における技術職員の評価とは
経営事項審査(経審)は、建設業者が公共工事を受注する際に利用される評価制度です。会社の経営状況や技術力、社会性などを数値化し、総合評定値(P点)として算出します。
その中でも技術職員数や保有資格は、会社の技術力を判断する重要な項目です。一定の資格を持つ技術者が多いほど、会社として対応できる工事の幅や技術力が高いと評価されます。
そのため、会社が社員へ資格取得をすすめる理由は、単に個人のスキルアップだけではなく、経審における評価向上という目的もあります。
技術職員1人あたり6点が上限なのか
経営事項審査の技術職員評価では、資格区分や実務経験などによって点数が決まっています。一般的に、1人の技術職員について複数の資格を持っていても、すべての資格点数が単純に合算される仕組みではありません。
例えば、ある工種について1級施工管理技士などの高い評価を受ける資格を取得し、監理技術者として登録している場合、その工種ではすでに高い評価区分に該当している可能性があります。
つまり、同じ工種でさらに別の資格を取得しても、経審上の技術職員点数が大きく増えない場合があります。ただし、取得する資格の種類や対象となる工事区分によって効果は変わります。
1級資格取得後でも資格を取る意味があるケース
すでに1級資格を取得している場合でも、追加資格が無意味とは限りません。理由は、経審では工事種類ごとに評価されるためです。
例えば、土木工事で1級土木施工管理技士を取得している人が、さらに建築や管工事など別分野の資格を取得すると、会社が対応できる業種の幅が広がる可能性があります。
また、会社として配置できる監理技術者や主任技術者の選択肢が増えるため、公共工事の受注機会を増やすことにもつながります。
資格取得を求められた場合に確認したいポイント
会社から「資格を取ってほしい」と言われた場合は、単純に点数アップだけを目的にしているのか、それとも将来的な人材育成を考えているのかを確認するとよいでしょう。
例えば、「この資格を取ることで経審のどの項目が上がるのか」「取得後にどの工事で活用できるのか」を会社へ聞くことで、目的が明確になります。
また、資格取得には勉強時間や費用が必要になるため、会社が受験費用を負担するのか、資格手当があるのかなどの待遇面も確認しておくことが大切です。
経審対策では個人の資格だけでなく会社全体のバランスが重要
経営事項審査では、1人の技術者だけを強化すれば必ず点数が大幅に上がるというものではありません。会社全体の技術者数、資格保有者の構成、対応できる業種などを総合的に評価します。
例えば、1人が非常に高い資格を持っていても、その資格を活用できる工事業種が限られている場合があります。一方で、複数の社員が異なる分野の資格を取得すると、会社全体の対応力向上につながります。
そのため、資格取得を考える際は「自分の点数が増えるか」だけではなく、「会社にとってどのような価値がある資格なのか」という視点も重要になります。
まとめ:1級資格取得後も資格の目的を確認することが大切
経営事項審査では、技術職員の資格が評価対象になりますが、1人の社員について資格点数が無制限に加算されるわけではありません。すでに1級資格を取得し監理技術者登録をしている場合、同じ工種では追加資格による経審上の効果が限定的な場合があります。
一方で、別工種の資格取得や会社全体の技術力向上につながる資格であれば、取得する意味があります。
会社から資格取得を求められた場合は、「何のために必要なのか」「経審でどのように評価されるのか」を確認し、自分のキャリアアップにもつながる資格を選ぶことが大切です。


コメント