棚卸資産の売上原価を総平均法で計算する方法|仕入額から次月繰越を引く理由をわかりやすく解説

簿記

簿記の学習で棚卸資産の売上原価を計算するとき、総平均法の考え方につまずく人は少なくありません。特に「1個あたりの仕入単価×販売数量で求めるのではないのか」「なぜ仕入額から次月繰越額を引くのか」と疑問に感じることがあります。この記事では、総平均法による売上原価の求め方と、その計算方法になる理由を具体例を使って解説します。

売上原価とは何を表しているのか

売上原価とは、商品を販売したことで発生した仕入れにかかった費用のことです。簡単にいうと、「売れた商品の仕入れ価格」が売上原価になります。

商売では、仕入れた商品がすべて当月に売れるとは限りません。月末に残った商品は棚卸資産として翌月へ繰り越されるため、仕入れた金額すべてが売上原価になるわけではありません。

そのため、基本的な計算式は「期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高=売上原価」となります。

総平均法では1個あたりの単価を計算して売上原価を求める

総平均法とは、一定期間に仕入れた商品の平均単価を計算し、その単価を使って売上原価を求める方法です。

総平均法の1個あたりの平均単価は、以下のように計算します。

総平均単価=(期首在庫金額+当期仕入金額)÷(期首在庫数量+当期仕入数量)

そして、売上原価は「総平均単価×販売数量」で計算できます。

例えば、期首に10個の商品(1個100円)があり、その後20個の商品を1個120円で仕入れた場合、総平均単価は以下になります。

(10個×100円+20個×120円)÷30個=約113円

この場合、10個販売したなら売上原価は約1,130円になります。

なぜ仕入額から次月繰越額を引いて求めるのか

「仕入額から次月繰越額を引く」という考え方は、売れた商品の金額だけを取り出すためです。

例えば、1か月で商品を100万円分仕入れたとしても、月末に30万円分の商品が残っている場合、その30万円はまだ売れていません。そのため売上原価には含めません。

計算すると、100万円(仕入額)-30万円(次月繰越額)=70万円となり、この70万円が実際に販売された商品の原価になります。

つまり、次月繰越額を引く理由は「仕入れた商品の中から、まだ販売していない分を除外するため」です。

総平均法と売上原価の計算式の関係

総平均法では、まず商品の平均単価を求め、その単価を使って期末在庫や売上原価を計算します。そのため、単純に仕入額だけを見るのではなく、在庫として残った商品の金額を考慮する必要があります。

具体的には、以下のような流れになります。

  • 期首在庫と仕入商品の数量・金額を合計する
  • 総平均単価を計算する
  • 期末に残った商品の金額を計算する
  • 仕入総額から期末在庫を引いて売上原価を求める

例えば、30個の商品を仕入れて10個残った場合、売れた20個分だけが売上原価になります。残った10個分は次月以降に販売されるため、当月の費用には含めません。

1個あたり単価×売上数量では間違いになる場合

「平均単価×売れた数量」という計算自体は間違いではありません。ただし、平均単価を正しく求める必要があります。

例えば、途中で追加仕入れがあり、仕入価格が毎回違う場合、最初に仕入れた商品の単価だけを使って計算すると正確な売上原価にはなりません。

総平均法では、複数回の仕入れ価格を平均化することで、商品の取得原価を公平に配分しています。そのため、仕入れごとの単価ではなく、計算した総平均単価を使用します。

まとめ|総平均法は売れた商品の原価だけを計算する方法

棚卸資産の売上原価を求めるとき、総平均法では平均単価を計算したうえで、販売された商品の原価だけを計上します。

「仕入額から次月繰越額を引く」という考え方は、まだ売れていない在庫分を売上原価から除くためです。仕入れた金額すべてを費用にすると、実際に売れた商品の原価と合わなくなります。

総平均法を理解するポイントは、「仕入れた商品」と「売れた商品の原価」は同じではないという点です。在庫として残った分を分けて考えることで、売上原価の計算が理解しやすくなります。

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