工業簿記や原価計算で学習する「度外視法」と「非度外視法」は、仕損や減損が発生した場合の原価計算方法です。問題によっては両者の計算結果が同じになることもあり、「結局何が違うのか分からない」と感じる受験生は少なくありません。この記事では、度外視法と非度外視法の考え方の違いと、結果が同じになるケース・異なるケースを具体例とともに解説します。
度外視法と非度外視法の基本的な違い
度外視法は、正常な仕損や減損について完成品原価に負担させる方法です。仕損品や減損数量は計算上の完成数量から除外し、その分の原価を良品へ配分します。
一方の非度外視法は、仕損や減損が発生した数量も一定の価値を持つものとして扱い、完成品と仕損品の双方に原価を配分する考え方です。
つまり、最大の違いは仕損や減損による原価を完成品だけが負担するかどうかにあります。
計算結果が同じになるケース
度外視法と非度外視法で結果が同じになる代表例は、仕損品に評価額がなく、かつ原価負担の対象が実質的に完成品のみとなる場合です。
例えば、完成品900個、正常仕損100個、総原価100万円とします。
| 項目 | 数量 |
|---|---|
| 完成品 | 900個 |
| 正常仕損 | 100個 |
| 総原価 | 1,000,000円 |
この場合、仕損品に処分価値がなく、原価を完成品へ負担させるという点では両者の計算結果が一致することがあります。
試験問題では、減損発生のタイミングや評価額の設定によって同額になるケースが出題されることがあります。
計算結果が異なるケース
結果が異なるのは、仕損品や減損部分に評価額がある場合や、工程途中で減損が発生して完成度が関係する場合です。
例えば、正常仕損品に1個あたり100円の売却価値がある場合、非度外視法ではその価値を考慮して原価を配分します。
一方、度外視法では仕損による原価を完成品へ集中させるため、完成品1個あたりの原価が高くなりやすくなります。
その結果、完成品原価や月末仕掛品原価に差が生じます。
試験で見極めるポイント
簿記1級や簿記論の問題では、まず「減損が正常か異常か」「発生点はどこか」「評価額はあるか」を確認することが重要です。
- 正常減損か異常減損か
- 工程の始点・終点・途中のどこで発生したか
- 仕損品の処分価額や評価額の有無
- 平均法か先入先出法か
これらの条件によって、度外視法と非度外視法の計算結果が一致するかどうかが決まります。
よくある誤解
「度外視法と非度外視法は別の公式を使うだけ」と考えると混乱しやすくなります。
本質は公式ではなく、減損や仕損による原価を誰が負担するのかという原価配分の考え方です。
そのため、問題を解く際は計算手順だけでなく、原価の流れを図に書いて整理すると理解しやすくなります。
まとめ
度外視法は仕損や減損による原価を主に完成品へ負担させる方法であり、非度外視法は仕損や減損部分も含めて原価を配分する考え方です。
仕損品に評価額がない場合などは計算結果が同じになることがありますが、評価額や減損発生時点が影響する問題では結果が異なることがあります。
試験対策では公式暗記だけでなく、「原価を誰が負担しているのか」という視点で考えると、度外視法と非度外視法の違いを理解しやすくなるでしょう。


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