法人税別表6(1)・別表8(1)が難しい理由とは?受取配当金の益金不算入と所得税控除を仕組みから解説

会計、経理、財務

法人税の申告書を勉強していると、多くの人が最初につまずくのが「別表6(1)」と「別表8(1)」です。

特に、

  • なぜこんな別表が存在するのか
  • 受取配当金の益金不算入とは何か
  • 所得税額控除との違い
  • 個別法・簡便法の意味

が混乱しやすいポイントです。

しかし、税法の背景を理解すると、別表6と別表8は「二重課税を調整するための仕組み」だと見えてきます。

この記事では、法人税別表6(1)と別表8(1)について、できるだけ実務イメージに近い形で解説します。

そもそも別表8(1)は何をしているのか

別表8(1)は「受取配当等の益金不算入」に関する明細書です。

これは簡単に言うと、同じ利益に二重で法人税がかからないようにする制度です。

例えば、A社が利益100万円を出して法人税を支払った後、残った利益をB社へ配当したとします。

この配当をB社がそのまま益金に入れて再度法人税を課税すると、

  • A社で課税
  • B社でも課税

となり、同じ利益に二重課税が発生します。

そこで、一定の受取配当金については「益金に入れなくてよい」という調整を行います。

これが別表8(1)の役割です。

つまり、質問にある

「受取配当金は既に法人税がかかった利益だから、再度課税するのはおかしい」

という理解は、基本的にその通りです。

別表6(1)は何をしているのか

別表6(1)は「所得税額の控除に関する明細書」です。

こちらは、配当や利息を受け取る際に源泉徴収された所得税を、法人税から差し引くための別表です。

例えば、上場株式の配当では通常、

  • 所得税
  • 復興特別所得税

が源泉徴収されます。

法人側から見ると、既に税金を先払いしている状態です。

そのため、法人税計算時に、

「もう払った所得税分は法人税から控除してあげます」

という仕組みがあります。

これが別表6(1)です。

したがって、

「法人とは本来関係ない所得税だけど、源泉徴収された分を法人税から差し引く」

という理解も、おおむね正しいです。

別表8と別表6は似ているようで役割が違う

ここはかなり重要です。

別表 役割
別表8(1) 受取配当金を益金から除外する
別表6(1) 源泉徴収された所得税を税額控除する

つまり、

  • 別表8は「所得計算」
  • 別表6は「税額計算」

をしています。

ここを分けて理解すると整理しやすくなります。

なぜ別表6(1)だけ按分が必要なのか

ここが最もややこしい部分です。

実は、受取配当金にかかる所得税額控除は、配当を受けた期間と実際の保有期間を対応させる必要があります。

例えば、配当基準日の直前だけ株を買って配当だけ受け取り、すぐ売却した場合でも、全額税額控除できると不公平になる可能性があります。

そのため、

  • 実際にどのくらいの期間株を保有していたか
  • 配当計算期間に対応しているか

を確認する必要があります。

そこで出てくるのが、

  • 個別法
  • 簡便法

です。

「利子配当等の計算期間」とは何か

これは、配当の対象となる会社側の利益計算期間です。

例えばトヨタ自動車が、

  • 中間配当
  • 期末配当

を出す場合、それぞれ別の計算期間があります。

つまり、「6月配当」「12月配当」という支払日ではなく、どの期間の利益に対する配当なのかを見ます。

そのため、単純に「12月だから計算期間12か月」というわけではありません。

「元本所有期間」とは何か

元本所有期間とは、簡単に言えば「株を保有していた期間」です。

例えば、

  • 令和2年取得
  • 令和7年12月売却

であれば、令和7年度中はほぼ全期間保有しています。

そのため、今回のケースでは、基本的には配当計算期間に対して十分な保有期間があると考えられます。

質問のケースを簡単に整理すると

質問の例では、

  • 6月配当 10,000円 源泉所得税1,500円
  • 12月配当 15,000円 源泉所得税2,250円

合計で、

  • 受取配当金 25,000円
  • 源泉所得税 3,750円

となります。

別表8(1)では、基本的に受取配当金25,000円をもとに益金不算入計算をします。

別表6(1)では、源泉所得税3,750円について税額控除計算を行います。

今回のケースでは長期保有に近いため、個別法でも大きな按分調整は発生しにくいケースです。

簡便法の「期首」「期末」の意味

簡便法は、毎回細かく個別管理せず、ざっくり平均で計算する方法です。

そのため、

  • 期首時点の株式残高
  • 期末時点の株式残高

を使って平均保有状況を計算します。

「15-16/2または12」などは、月数按分や平均保有月数の考え方に関連しています。

つまり、簡便法は「厳密な日数管理をせず、おおよその平均で調整する制度」です。

なぜこんなに複雑なのか

法人税申告書は、「節税」ではなく「公平性」を重視して設計されています。

特に受取配当金は、

  • 二重課税防止
  • 短期売買対策
  • 租税回避防止

など複数の考え方が混ざっています。

その結果、別表6(1)と別表8(1)は非常に複雑になっています。

税理士試験受験生でも、このあたりで苦戦する人はかなり多いです。

まとめ

別表8(1)は「受取配当金の二重課税を防ぐための益金不算入計算」、別表6(1)は「源泉徴収された所得税を法人税から控除するための税額計算」です。

似ているようで、

  • 別表8は所得調整
  • 別表6は税額控除

という違いがあります。

また、別表6(1)で個別法や簡便法が存在するのは、短期保有による不公平を防ぐためです。

最初は非常に複雑に感じますが、「二重課税防止」と「公平性」という2つの視点で見ると、少しずつ整理しやすくなります。

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