退職金について「給料から天引きされていた」と感じる人は少なくありません。しかし、日本の退職金制度の仕組みは、会社によって導入方法や原資が異なっており、給料から直接天引きされているわけではないケースがほとんどです。本記事では退職金の一般的な仕組み、会社側の負担の仕方、代表的な制度である中小企業退職金共済などを具体例で解説します。
退職金制度の基本と給料との関係
退職金は法律で企業に義務付けられているものではなく、各企業が就業規則や労働契約で定めた労働条件として支給されます。したがって、給与とは別の性質を持つ給付です。[参照]
一般的に退職金が支給される条件や計算方法(勤続年数や退職理由や給与の基準など)は企業ごとに定められており、給与から直接引かれているわけではありません。あなたの前職で「給料から天引きしている」と感じた要因は、実は別の扱い(会社が掛金を支払っている部分を給与明細で見ていたなど)の可能性があります。
退職金共済制度の実例:中小企業退職金共済
中小企業退職金共済(中退共)は、日本の中小企業が導入しやすい退職金制度の一例です。会社が勤労者退職金共済機構と契約し、毎月掛金を金融機関を通じて納めます。従業員は制度に加入することで、退職時に機構から退職金を受け取ることができます。[参照]
この中退共制度では、掛金は会社(事業主)が全額負担します。法律上、従業員の給料から天引きすることはできません。掛金は会社の損金(必要経費)として扱われ、従業員の負担が発生しない仕組みになっています。[参照]
企業独自の退職金制度と給料の関係
中退共のほかにも、企業が独自に設ける退職金制度(内部留保型、確定給付企業年金など)もあります。これらも原則として会社が掛金や原資を準備し、従業員の給与から直接控除するものではありません。
例えば、確定給付企業年金や確定拠出年金(企業型DC)の場合、会社が出す掛金と従業員が出す掛金がある場合もありますが、いずれも給与とは別の制度設計となっています。給与からの控除がある場合でも、それは厚生年金保険料や健康保険料の制度的なものであり、退職金そのものの掛金として控除しているわけではありません。
退職金を「給料の後払い」と捉えるケース
会社によっては退職金制度を給与体系と一体にして設計している場合もあり、「退職金相当額を賃金上の条件として積み立てている」と理解されることがあります。こうした背景から「給料から引かれている」と感じることもありますが、法的には給与ではなく退職金制度として区分されています。[参照]
退職金として500万円程度支給されるといった話も、制度設計や勤続年数・掛金設定によって決まっているため、給与とは別の仕組みで計算されています。
実例:建設業退職金共済と他の制度
建設業退職金共済(建退共)などの特定業種向けの制度もありますが、これも中退共同様、会社が加入し掛金を納付する仕組みです。従業員が自分の給与から天引きされているわけではなく、会社が加入・掛金負担することで退職金の原資が形成されています。
したがって、あなたの体感として「給料から天引きされていた」と感じた場合でも、実際には会社が給与と別に退職金制度の原資を積み立てていた可能性が高いのです。
まとめ:退職金と給与の違い
退職金は多くの場合、給与とは別に会社が準備・負担するものであり、従業員の給与から直接天引きされて積み立てられているとは限りません。特に中小企業退職金共済や建設業退職金共済のような制度では、会社が掛金を負担し、従業員は退職時に給付を受けます。
退職金制度は会社ごとに設計が異なるため、退職金の仕組みや支給条件などは入社時の就業規則や労働契約書で確認することが重要です。


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