引当金が法的確定債務とは言わない理由とその仕組み

引当金は、企業が将来の支出に備えて積み立てておくための金額ですが、なぜそれが法的確定債務とは言われないのでしょうか？本記事では、引当金と法的確定債務の違いについて解説し、その理由を詳しく説明します。

引当金とは？

引当金とは、企業が将来の特定の支出に備えて事前に計上する金額のことです。これには、修繕費、賞与、退職給付引当金などが含まれます。引当金は、将来的に発生する可能性が高い支出を見越して積み立てておくもので、確定した支出ではなく、予測に基づくものです。

例えば、企業が従業員に対して支払う賞与や退職金は、将来発生する確実な支出ではありませんが、過去の実績や契約に基づき、その支出が予想されるため引当金として計上されます。

一方、法的確定債務とは、企業が法的な義務に基づいて支払いを確定した債務のことを指します。これは、契約書や法律などによって支払うことが義務付けられており、支払い時期や金額が既に決まっているため、企業の財務上の負担が明確です。

例えば、税金の支払い義務や、契約に基づく支払い義務は法的確定債務に該当します。これらは、企業が支払うべき金額と時期が法的に確定しており、将来の支出ではなく、すでに存在している支払い義務です。

引当金が法的確定債務とは言われない理由は、引当金が「予測に基づいて設定された金額」であり、支払いの義務や金額が法的に確定しているわけではないからです。引当金は、あくまで将来発生する可能性が高い支出に備えた会計処理に過ぎません。

したがって、引当金は「予想される支出」であり、必ずしも実際に支払う必要があるわけではなく、支出が確定していない場合でも設定することができます。これに対して、法的確定債務は、企業が支払うべき金額や時期が法的に確定しており、支払い義務が発生しているため、会計上で扱われる扱いが異なります。

引当金の具体例としては、以下のようなケースがあります。

賞与引当金：企業が従業員に支払う賞与に備えて積み立てておく金額です。実際の支払い額は未確定ですが、支払うことが予測されるため引当金を計上します。
退職給付引当金：企業が従業員の退職時に支払う退職金に備えて計上する金額です。退職金の額や支払い時期は確定していないが、発生が予測されるため積み立てておきます。

これらはすべて、支出が予測されるだけで法的な義務が確定していないため、法的確定債務とは区別されます。