部門別利益の計算方法|人件費や家賃を配賦して本当に儲かっている部門を判断する方法

会計、経理、財務

複数の部門を持つ会社では、売上や仕入だけを見ると利益が出ているように見えても、人件費や家賃、光熱費などの間接費を含めると実際の収益性が変わることがあります。そのため、部門ごとの採算を判断するには、売上から必要な費用を適切に差し引く管理会計の考え方が重要です。

特に、人数の多い部門が少人数の部門を支えているのか、それとも各部門が十分な利益を生み出しているのかを確認するには、部門別損益を作成する必要があります。

この記事では、部門ごとの利益を計算する基本的な方法、人件費や共通経費をどのように配分するか、実際の判断で注意すべきポイントについて解説します。

部門ごとの利益を確認するには売上だけでは判断できない

部門の利益を確認するとき、まず考えるべきなのは「その部門がどれだけ売上を作ったか」ではなく、「その売上を作るためにどれだけ費用がかかっているか」です。

例えば、A部門が月500万円の売上、B部門が月100万円の売上だったとしても、A部門には40人の人件費が必要で、B部門には7人分の人件費しか必要ない場合、単純な売上比較では正しい判断はできません。

部門別の採算を見る場合は、基本的に以下のような計算を行います。

部門利益 = 部門売上 − 部門直接費 − 配賦された間接費

この計算によって、その部門が会社全体にどれだけ利益を貢献しているかを把握できます。

まず計算するべき部門別の粗利益

最初に確認しやすいのは、売上から仕入や外注費などの直接費を引いた粗利益です。

例えば、ある部門の売上が1,000万円で、商品の仕入が600万円だった場合、粗利益は400万円になります。

粗利益 = 売上 − 仕入・外注費などの直接費

この段階では人件費や家賃などは含まれていませんが、その部門が商品やサービスによってどれだけ利益を生み出しているかを見ることができます。

ただし、粗利益だけでは「人件費を払える部門なのか」という判断はできません。次に人件費やその他の経費を考慮する必要があります。

部門ごとの人件費を計算する方法

部門別利益を正確に出すには、それぞれの部門に所属する社員の人件費を計算する必要があります。

給与だけではなく、会社負担の社会保険料、賞与、福利厚生費なども含めると、実際に会社が負担している人件費になります。

例えば、7人の部門で1人あたり年間500万円の人件費がかかっている場合、単純計算では年間3,500万円の人件費が必要です。

一方で、40人いる部門では年間2億円以上の人件費が発生する可能性があります。そのため、人数が多い部門ほど売上規模だけでなく、人件費を含めた利益を見ることが重要になります。

家賃や光熱費など共通経費を部門に配分する方法

家賃や光熱費、管理部門の人件費などは、特定の部門だけに直接結びつかないため、一定の基準で配分します。これを「配賦」といいます。

代表的な配賦基準には以下のようなものがあります。

  • 従業員数に応じて配分する
  • 使用している床面積に応じて配分する
  • 売上比率で配分する
  • 作業時間や利用量に応じて配分する

例えば、家賃が月200万円で、A部門が全社員の80%、B部門が20%を占める場合、人員比率で配分するならA部門160万円、B部門40万円として計算します。

ただし、配賦方法によって利益の見え方は変わるため、会社の実態に合った基準を決めることが大切です。

部門別利益を計算する具体例

例えば、ある会社に2つの部門があるとします。

項目 A部門 B部門
売上 1,000万円 300万円
仕入 500万円 100万円
人件費 350万円 120万円
共通経費配賦 100万円 30万円

この場合、A部門の利益は「1,000万円−500万円−350万円−100万円=50万円」です。

B部門の利益は「300万円−100万円−120万円−30万円=50万円」です。

売上だけを見るとA部門のほうが大きく見えますが、最終的な利益では同じ結果になることもあります。このように、部門の価値を判断するには費用まで含めて見る必要があります。

赤字部門かどうかを判断するときの注意点

少人数の部門だから赤字、多人数の部門だから利益を出している、という単純な判断はできません。

例えば、新規事業を担当している部門の場合、現在の利益が小さくても将来的な売上拡大につながる可能性があります。

また、会社全体を維持するために必要な部門もあります。そのため、単月の利益だけではなく、将来性や会社全体への貢献度も考慮することが重要です。

正確な部門別利益を見るために必要な資料

部門ごとの利益を計算するには、以下のような資料があると分析しやすくなります。

  • 部門別売上
  • 部門別仕入・外注費
  • 社員ごとの所属部門と人件費
  • 家賃や光熱費など共通経費
  • 設備費や広告費などの関連費用

決算書だけでは部門別の利益までは分からないことが多いため、会社内部の管理会計資料を作成する必要があります。

もし人件費の部門別内訳が分からない場合は、経理担当者や管理部門に確認し、部門別損益表を作成すると判断しやすくなります。

まとめ

部門ごとの利益を判断するには、売上や仕入だけではなく、人件費や家賃、光熱費などの経費を含めて計算する必要があります。

基本的には「部門売上−直接費−人件費−配賦された共通経費」で部門利益を求めることで、その部門が本当に会社へ利益を貢献しているかを確認できます。

ただし、利益だけで部門の価値を決めるのではなく、将来性や会社全体への役割も考慮することが大切です。正しい部門別損益を把握することで、感覚ではなく数字に基づいた経営判断ができるようになります。

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