建設業の労働保険年度更新では、一般の事業とは異なり、元請工事に関する労災保険の申告や一般拠出金の計算など、特有の処理が必要になります。特に下請工事のみを行っている会社では、届いた申告書の扱いや概算保険料の記入方法について迷うことがあります。この記事では、建設業で元請工事がない場合の年度更新手続きの考え方や、申告書の記入時に注意すべきポイントを解説します。
建設業の労働保険年度更新で確認するべき基本事項
労働保険の年度更新とは、前年度に納めた労働保険料を確定させ、同時に新年度分の概算保険料を申告・納付する手続きです。労災保険と雇用保険を合わせて労働保険と呼びますが、建設業では労災保険の取り扱いが一般の事業と異なる点があります。
建設業の場合、元請負人が工事全体について労災保険を成立させる仕組みになっているため、下請としてのみ工事を行う会社では、元請工事分の労災保険料を申告する必要がないケースがあります。
ただし、会社に雇用されている労働者がいる場合は、雇用保険や一般拠出金などについて別途確認が必要になります。単純に「元請がないから全て0」と判断せず、自社の状況を確認することが重要です。
元請工事がない建設業者の労災保険料の考え方
建設業で全て下請工事の場合、自社が元請として請け負った工事がなければ、建設業の労災保険料については対象となる工事がないため、確定保険料が0円となる場合があります。
例えば、建設会社Aが大手元請会社から仕事を受け、作業員を現場へ派遣しているだけの場合、その工事の労災保険関係は元請会社側で成立しています。そのため、下請会社側でその工事分の請負金額を申告することは通常ありません。
一方で、会社で雇用している従業員の雇用保険料や、その他の労働保険関係が発生している場合があります。労働者の給与や雇用状況によって計算が必要になるため注意しましょう。
一般拠出金のみ記入する場合の注意点
建設業の年度更新では、石綿(アスベスト)健康被害救済のための一般拠出金の申告が必要になる場合があります。元請工事がない場合でも、申告書が送付されている理由を確認し、必要な項目を記入します。
一般拠出金は、対象となる工事の請負金額などを基準として計算されます。そのため、建設業の元請工事が全くない場合には、一般拠出金の対象額も確認が必要です。
申告書の種類や記載方法は会社の労働保険番号や成立している保険関係によって異なるため、不明な場合は管轄の労働局や労働基準監督署へ確認すると確実です。
概算保険料はどのように記入するのか
年度更新では、前年度分の確定保険料だけでなく、新年度分の概算保険料も申告します。元請工事がない場合でも、雇用している労働者がいるかどうかで扱いが変わります。
例えば、建設会社で従業員を雇用しており、給与を支払っている場合は、雇用保険料や労災保険料の対象となる可能性があります。その場合、前年実績や新年度の見込み給与額をもとに概算保険料を計算します。
反対に、労働者を雇用しておらず、対象となる保険関係が存在しない場合には、概算保険料が発生しないケースもあります。会社ごとの状況によって判断が必要です。
緑色と青色の申告書は別々に提出する必要があるのか
労働保険年度更新では、届いた申告書が複数ある場合、それぞれが別の労働保険番号や保険関係に対応している可能性があります。
建設業では、一般の労災保険と建設業の元請工事に関する労災保険など、複数の扱いになることがあります。そのため、届いた2枚の申告書を単純に1枚へ合算することはできません。
それぞれの申告書に記載された労働保険番号や対象となる保険関係を確認し、指定された方法で提出する必要があります。まとめてよいか迷う場合は、提出前に管轄の窓口へ確認することがおすすめです。
まとめ
建設業で全て下請工事の場合、元請工事に関する労災保険料が発生しないケースがあります。しかし、雇用保険や一般拠出金などは会社の雇用状況によって取り扱いが変わります。
また、年度更新で複数の申告書が届いた場合は、それぞれ異なる保険関係を示している可能性があるため、勝手に合算せず内容を確認することが大切です。
労働保険の年度更新は建設業特有のルールが多いため、自社の状況に少しでも不明点がある場合は、管轄の労働局や労働基準監督署へ相談しながら正確に手続きを進めると安心です。


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