外国での出願を基礎としてPCT経由で日本に特許出願する場合、優先日と日本国内移行日は別の意味を持ちます。優先日は基礎出願日であり、国内移行日(日本出願日)は日本国内での手続き開始日です。この記事では、特に先使用権との関係に焦点を当て、どのタイミングで他社の実施が影響するかを整理します。
優先日と日本国内移行日の違い
優先日とは、外国出願日を基準にして新規性や進歩性を判断するための出願日です。これに対し、日本国内移行日は、PCT出願が日本特許庁に正式に受理された日を指します。
つまり、特許制度上の新規性判断は優先日ベースで行われますが、国内での権利行使や先使用権の発生に関しては、国内移行日が重要になります。
先使用権の成立条件
日本の特許法では、特許出願前から国内で発明を実施していた者は、先使用権を主張できます。ここでの実施日とは、日本国内移行日以前に行われた国内での事業活動を指します。
したがって、PCT経由で日本に移行する間(優先日以降、国内移行日以前)に他社が国内で発明を実施していれば、その他社には先使用権が認められる可能性があります。優先日はあくまで国際的な新規性判断の基準であり、国内先使用権とは直接関係しません。
先使用権とクレームの同一性
先使用権を判断する際、移行後の日本出願のクレームが基礎出願と完全に同一である場合でも、先使用権の可否は国内移行日以前の実施内容に依存します。つまり、優先日以降に他社が日本国内で実施していたかどうかが焦点となります。
具体例
例えば、米国での出願日が2025年1月1日、PCTを通じて日本移行日が2026年1月1日だった場合:
- 他社が2025年6月に日本国内で同一発明を使用していた場合、先使用権が認められる可能性がある。
- 他社が2026年2月に初めて使用した場合、先使用権は認められない。
このように、国内移行日前の日本国内実施が判断基準となるため、優先日だけで先使用権の可否を決めることはできません。
まとめ
PCT経由での日本特許出願では、優先日と国内移行日を明確に区別することが重要です。先使用権はあくまで国内移行日以前の国内実施に基づき認められるものであり、優先日は国際的な新規性や進歩性判断に関わる日です。したがって、優先日以降かつ国内移行日前に他社が日本国内で発明を実施していれば、先使用権の主張が可能です。


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