貸倒引当金と貸倒引当金繰入の違いをわかりやすく解説

貸倒引当金と貸倒引当金繰入は、企業の会計処理でよく使われる用語ですが、その違いを理解するのは少し難しいかもしれません。この記事では、この2つの違いを具体例を交えて、できるだけわかりやすく解説します。

貸倒引当金とは？

貸倒引当金とは、企業が将来の貸倒れ（お金が回収できなくなること）に備えて、あらかじめ計上しておくお金のことです。例えば、企業が顧客に売掛金を持っている場合、その顧客が支払いをしなくなるリスクに備えて引当金を積み立てます。

この引当金は、貸倒れが発生する前に予測して設定するもので、会計上の費用として計上されます。貸倒引当金を積み立てることで、企業は貸倒れによる影響を緩和し、財務状況を健全に保つことができます。

貸倒引当金繰入は、貸倒引当金を設定するために実際に会計処理として行う操作です。簡単に言うと、貸倒引当金を設定するために、経費として費用を計上することを「繰入」と呼びます。

例えば、企業が売掛金の回収不能リスクを予測し、引当金を設定するとき、貸倒引当金繰入として経費を計上します。この繰入によって、企業の費用が増加し、その分だけ利益が減少しますが、将来のリスクに備えるための必要な処置です。

大きな違いは、貸倒引当金は「備え」として積み立てられるもので、貸倒引当金繰入はその積立を行うための「経費の計上」ということです。

言い換えれば、貸倒引当金は「引当金」という形で企業の貸倒れへの準備金が積まれた状態であり、貸倒引当金繰入はその準備金を積み立てるために実際に費用として計上されるものです。

例えば、企業Aが顧客Bに100万円の売掛金を持っているとします。企業Aは、顧客Bが支払いをしない可能性を考慮して、10万円を貸倒引当金として設定することにしました。このとき、実際に行ったのは「貸倒引当金繰入」という経費の計上です。

その後、顧客Bが支払いをしなかった場合、企業Aは10万円を貸倒引当金から引き出して、売掛金の帳簿上の金額を調整します。このように、貸倒引当金繰入は、引当金を設定するための会計処理であり、実際に引当金を使う段階では「貸倒引当金」が使用されます。

貸倒引当金は企業が将来の貸倒れに備えて積み立てておく準備金であり、貸倒引当金繰入はその積立を行うために経費を計上する操作です。どちらも企業が財務リスクに備えるための重要な手続きであり、会計上で適切に処理することが求められます。

これらの違いを理解し、実務でどのように適用されるのかを知っておくことは、企業の経営や会計において非常に役立ちます。