キャッシュフロー計算書は、企業の資金の流れを把握するための重要なツールです。特に間接法によるキャッシュフロー計算は、多くの企業で採用されています。その中でも為替差損益の取り扱いはしばしば疑問を持たれるポイントです。本記事では、間接法における為替差損益の取り扱いについて、特に営業資産や負債から生じた為替差損益をなぜ含まないのかについて解説します。
キャッシュフロー計算書の間接法とは
まず、キャッシュフロー計算書の間接法について簡単におさらいしましょう。間接法では、営業利益をベースにして営業活動によるキャッシュフローを計算します。具体的には、純利益から非現金項目や営業外収益・費用などを調整し、最終的な営業活動によるキャッシュフローを算出します。
為替差損益とは
為替差損益とは、外国通貨の換算によって発生する損益のことです。たとえば、海外の取引先に対する債権・債務がある場合、その債権や債務が為替レートの変動によって価値が変動し、その結果として損益が生じます。この為替差損益は、企業の財務状態や業績に影響を与える要素として重要です。
営業資産や負債から生じた為替差損益を含まない理由
では、なぜ営業資産や負債から生じた為替差損益がキャッシュフロー計算書に含まれないのでしょうか。その理由は、間接法が「実際の現金の流れ」を反映するための方法だからです。営業活動から生じたキャッシュフローを把握するためには、営業活動自体に関連する現金の流れに焦点を当てます。為替差損益は、あくまで「評価額の変動」によるもので、実際に現金が動いていない場合もあります。
たとえば、企業が外国で売掛金を持っている場合、為替レートが変動すると、その売掛金の円換算額が変わりますが、これは現金が実際に動くわけではありません。したがって、この評価額の変動はキャッシュフローには含まれず、営業活動の現金流出入を示すキャッシュフローに影響を与えることはありません。
為替差損益の扱いに関する実例
例えば、ある日本の企業が米ドルで売掛金を持っているとしましょう。売掛金の額は1万ドルで、当初の為替レートは1ドル=100円と仮定します。1万ドルの売掛金は、最初は100万円として記録されます。しかし、為替レートが変動して1ドル=110円になった場合、売掛金の評価額は110万円に変わります。
この変動自体は、あくまで評価の変更であり、実際に現金が企業に入ったわけではありません。したがって、キャッシュフロー計算書にはこの為替差損益は含まれず、あくまで現金の実際の出入りが反映されることになります。
まとめ
キャッシュフロー計算書の間接法において、為替差損益は営業活動の実際の現金流れを反映するものではないため、営業資産や負債から生じた為替差損益は含まれません。これにより、キャッシュフロー計算書は企業の実際の現金の流れを正確に示すことができ、より実態に即した財務状況を把握することが可能になります。


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