簿記3級の試験において、売上原価の計算に関する問題はよく出題されますが、同じような状況でも異なる仕訳が求められることがあります。特に、期中の商品仕入れと期末の商品棚卸高をどのように扱うかに関して疑問を持つ方も多いでしょう。この記事では、2つの異なる問題例を使って、決算時の仕訳の違いとその性質について解説します。
仕入れと売上原価の基礎知識
売上原価とは、商品の販売にかかるコストのことです。これには期首商品棚卸高、当期商品仕入高、期末商品棚卸高が影響します。仕訳においては、これらの項目を適切に処理することが重要です。基本的な流れとしては、期首商品棚卸高と当期商品仕入高を合算し、期末商品棚卸高を差し引くことで売上原価を算定します。
問題1:期首商品棚卸高と期末商品棚卸高を使った売上原価の計算
最初の問題では、決算日における期首商品棚卸高、当期商品仕入高、期末商品棚卸高が与えられています。この場合、売上原価は次の計算式を使って求められます。
売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 - 期末商品棚卸高
例えば、期首商品棚卸高が120,000円、当期商品仕入高が1,230,000円、期末商品棚卸高が180,000円だった場合、売上原価は次のように計算されます。
売上原価 = 120,000円 + 1,230,000円 - 180,000円 = 1,170,000円
この計算結果に基づき、仕訳は以下のように行われます。
損益1,170,000円 / 仕入1,170,000円
ここでは、期中の仕入れ金額がそのまま仕訳に反映され、売上原価が算定されます。
問題2:期中仕入れが使われないケース
次に、期中仕入れが使われないケースについて見ていきます。こちらの問題では、期首商品棚卸高、当期商品仕入高、期末商品棚卸高が与えられ、売上原価は仕入勘定で計算することが指示されています。この場合、決算仕訳では期首商品棚卸高と期末商品棚卸高を使って仕訳を行います。
具体的には、次のような仕訳が求められます。
仕入27,200円 / 繰越商品27,200円
繰越商品31,900円 / 仕入31,900円
この仕訳では、当期商品仕入高は決算仕訳で使用せず、期首商品棚卸高と期末商品棚卸高のみを使って売上原価を計算しています。
2つの問題の性質の違い
これら2つの問題の違いは、売上原価の算定方法にあります。最初の問題では、期中の仕入れ額をそのまま使って売上原価を計算しています。一方、2番目の問題では、決算仕訳の段階で期首商品棚卸高と期末商品棚卸高を基に売上原価を計算しており、当期仕入高は含まれていません。
この違いは、簿記の決算処理における仕訳の方針の違いから来ています。期中仕入れが決算で使われるかどうかは、その仕訳の目的や設問の意図に依存します。
まとめ:決算仕訳の取り扱いと売上原価の計算方法
簿記における決算仕訳では、期首商品棚卸高、当期商品仕入高、期末商品棚卸高をどのように使うかがポイントです。特に、期中の仕入れ額がそのまま売上原価に影響を与える場合と、決算時にのみ期首と期末の商品棚卸高を使う場合があり、これらの違いを理解することが重要です。


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