簿記3級の学習で「貸倒引当金」という仕訳や科目名に出会うと、「何のために設定するの?貸倒になってから損失計上すれば良いのでは?」と疑問に思う方も多いはずです。本記事では貸倒引当金の目的や、なぜ期末に残る場合があるのかをわかりやすく解説します。
貸倒引当金を設定する目的
法人が売掛金や受取手形といった債権を持っている場合、その一部が回収できなくなるリスクがあります。これを「貸倒リスク」といい、その発生を見越して事前に引当金を計上するのが貸倒引当金です。
貸倒引当金はリスク対策として、債権が将来貸倒になる可能性に対して予め準備する費用です。事前に費用計上することで、実際に貸倒損失が発生した際の損益の急激な変動を防ぎます。
例えば年末時点で多数の売掛金があり、その中の1割が回収不能となる可能性があると見込まれる場合、見込み分を貸倒引当金として計上するのが適切な処理です。
貸倒損失だけで処理しない理由
貸倒になってから貸倒損失として処理するだけでは、当期の売上に対して本来必要な費用を計上できません。会計の基本原則である費用収益対応の原則に基づき、収益をあげた期間と関連する費用を同じ期間に認識する必要があります。
貸倒引当金を設定することで、売上が計上された当期に対応する費用としてリスク分を計上し、会計情報としてより正確な損益を表せるようにします。
貸倒引当金が期末に残るとは?差額補充法の解説
簿記では貸倒引当金を一定の基準に従って計算し、期末に残高を調整します。「差額補充法」とは、期初残高や計算による必要額との差額を補充する方法です。
例えば期末の必要額が100円で、前期から繰り越した貸倒引当金が95円だった場合、差額補充法により追加で5円を計上して100円にします。この「5円残る」とは、前期から引き継いだ貸倒引当金が期末時点でも残っていることを示しています。
前期に設定された引当金がそのまま使われずに一定額残った結果、期末時点でも引当金残高として帳簿に計上されるわけです。
貸倒引当金の仕訳例
差額補充法の仕訳例を挙げると、前期から残高95円、必要額100円の場合は次の仕訳を行います。
(借方)貸倒引当金繰入 5円
(貸方)貸倒引当金 5円
このように追加で5円の引当金を計上することで、期末の貸倒引当金残高を100円に調整します。
どの金額を使うべきか?実務感覚
実務では過去の貸倒発生実績や売掛先の属性をもとに引当金の必要額を見積もります。全く貸倒が発生しない場合でもリスクを見越して一定の引当金を残しておくのが一般的です。
簿記3級の学習では細かい実務評価は出ませんが、期末時点での残高調整や、何のために引当金を設定するのかという考え方を理解することが重要になります。
まとめ:貸倒引当金はリスクを見越した費用計上
貸倒引当金は、売掛金などが将来貸倒になるリスクを見越して、当期の費用として計上するための仕組みです。これにより収益と費用の対応関係が適切になります。
期末に貸倒引当金が残るという表現は、前期からの引当金がまだ使われずに残っている状態を示しています。差額補充法では必要額まで調整するための仕訳を行って、その残高を期末の数値に整えるという考え方を理解しましょう。


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