減損損失を計上する際に、資産の簿価を「正味売却価格」と「将来キャッシュフローの割引現在価値」の高い方まで切り下げるという点について疑問を持つ方も多いでしょう。特に、保守主義の原則から低い方まで切り下げるべきではないかという意見もあります。この記事では、この仕組みとその理由について解説します。
減損損失計上の基本的な流れ
減損損失を計上する際には、まず資産の帳簿価額が回収可能価額を上回っているかどうかを確認します。回収可能価額は、「正味売却価格」または「将来キャッシュフローの割引現在価値」のいずれか高い方を基準に決定されます。これによって、資産がどれだけ減損しているかが計算され、必要に応じて帳簿価額が引き下げられます。
このように、減損損失の計上は回収可能価額に基づいて行われるため、正味売却価格と将来キャッシュフローの割引現在価値の高い方を基準にするのが原則です。
保守主義の原則と減損損失
質問者が言うように、保守主義の原則(費用は多めに見積もる)は簿記の重要な原則の一つです。これは、利益の過大評価を避け、損失を早期に計上することを目指しています。しかし、減損損失の計上においては、この原則が常に低い方を選ぶという形では適用されません。
むしろ、回収可能な金額を過小評価することなく、実際に回収できる可能性が高い金額を反映させることが重要です。従って、回収可能価額が高い方を選ぶことが求められるのです。
なぜ「高い方」を選ぶのか?
「高い方」を選ぶ理由は、回収可能価額の正確な反映を目指すためです。もし将来キャッシュフローの割引現在価値が高い場合、将来の収益やキャッシュフローに対する期待がより高いことを意味します。それに対して、正味売却価格が低い場合、資産を売却した場合の価値が低いことを示しており、この差異は企業にとって重要な情報となります。
結果的に、企業は回収可能な金額が高い方を基準にして減損を計上することで、より正確な財務状況を反映させることができます。過度に保守的な処理は企業の財務健全性を誤解させる恐れがあるため、バランスを取ることが求められます。
減損損失計上の実務での注意点
減損損失を計上する際には、正確なデータを用いて回収可能価額を算出することが求められます。また、減損処理の際には、税務上の影響や将来のキャッシュフローの予測にも注意を払う必要があります。
過去のデータや市場動向、将来予測を適切に反映させることが減損損失を正しく計上するための鍵です。将来キャッシュフローの割引現在価値を算出するためには、適切な割引率や予測期間の設定が重要です。
まとめ
減損損失を計上する際には、回収可能価額を「正味売却価格」と「将来キャッシュフローの割引現在価値」の高い方で判断することが原則です。これは、回収できる金額を正確に反映させるためであり、保守主義の原則を適切に適用するためには、過度に低い方を選ぶべきではありません。企業の財務状況を正確に把握するためには、回収可能価額を最も高い金額で評価することが大切です。


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