中小企業やベンチャー企業の経営に関心があると、「社員数が少なくても利益が大きい会社の社長は、実際どのくらいの年収なのか」と気になることがあります。本記事では、社員15人程度・資本金1000万円・利益2億円規模の企業を想定し、社長の年収がどのように決まるのかを、制度面と実例の両方から整理します。
社長の年収は「利益」だけでは決まらない
まず前提として、社長の年収(役員報酬)は会社の利益額だけで自動的に決まるものではありません。法人の場合、社長の収入は給与ではなく「役員報酬」として扱われ、毎期の期首に金額を決める必要があります。
そのため、利益2億円が出ているからといって、その大半を社長が自由に受け取れるわけではなく、税金、内部留保、将来投資などを考慮した上で報酬額が設定されます。
利益2億円企業に多い役員報酬の相場感
社員15人規模で利益2億円を安定して出している企業の場合、社長の役員報酬は年収2000万円〜5000万円程度に設定されるケースが一つの目安になります。これは中小企業の実務上、比較的よく見られるレンジです。
例えば、役員報酬を月額300万円に設定すると年収は3600万円になります。この金額は法人税と個人の所得税・住民税のバランスを考えた結果として選ばれることが多い水準です。
なぜ利益2億円でも年収1億円にならないのか
一見すると「利益が2億円もあるなら社長は1億円以上もらえるのでは」と思われがちですが、実際にはそう単純ではありません。役員報酬を過度に高くすると、個人側の税負担が非常に重くなります。
また、会社に現金を残しておくことは、資金繰りの安定や事業拡大、金融機関からの評価にも直結します。そのため、あえて社長個人の年収を抑え、法人に利益を残す経営判断が取られることも多いのです。
実例で見る社長年収の考え方
例えば、IT系やコンサル系など固定費が少ない業種では、利益率が高く、社長報酬を比較的高めに設定するケースがあります。一方で、将来の採用や新規事業を見据え、あえて年収2500万円程度に抑える経営者もいます。
また、社長が会社の株式を100%保有している場合、役員報酬とは別に、将来的に配当や株式売却益として収入を得る選択肢もあります。この場合、表面的な年収は低めでも、総合的な資産形成は大きくなります。
資本金1000万円という条件の影響
資本金1000万円という規模は、日本の中小企業では一般的であり、社長の年収を直接制限する要素ではありません。ただし、資本金が小さいほど、金融機関や取引先からの信用を意識した経営が求められます。
その結果、社長が過度に高額な報酬を取るよりも、堅実な数字を維持する判断がされやすく、年収3000万円前後に落ち着くケースが多くなります。
まとめ:利益2億円企業社長の年収は「数千万円」が現実的
社員15人・資本金1000万円・利益2億円規模の企業において、社長の年収は2000万円〜5000万円程度が一つの現実的な目安といえます。これは税金、会社の成長戦略、資金繰りを総合的に考えた結果として選ばれる水準です。
社長の年収は単なる利益の大小ではなく、経営判断の積み重ねによって決まります。数字の裏側にある考え方を理解することで、企業経営の実態がより立体的に見えてくるでしょう。


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