中途採用で入社した人が「思っていた人物像と違う」「期待したほど活躍していない」と感じたとき、その責任は誰にあるのか。特に、業界未経験と理解した上で採用しておきながら、後から「即戦力が欲しい」と言い出す企業姿勢に疑問を持つ人は少なくありません。本記事では、中途採用における企業側の責任と現場のギャップについて、冷静に整理していきます。
中途採用における企業側の基本的な責任
中途採用は、新卒採用と異なり「過去の職歴やスキルを見た上で判断する採用」です。そのため、採用した人物が期待通りに機能しない場合、一定の責任が企業側にあるのは事実です。
特に、募集要項で「未経験可」「経験不問」と明記している場合、その人が最初から即戦力でないことは想定済みであるべきです。にもかかわらず、入社後すぐに成果を求めるのであれば、それは採用設計や期待値設定の問題といえます。
「即戦力が欲しい」と「未経験可」の矛盾
よくある問題が、「未経験者も歓迎」としながら、現場では即戦力前提で扱われるケースです。これは採用担当と現場の認識がズレている典型例です。
例えば、人手不足を理由に採用を急ぎ、本来は教育期間が必要な人材を迎え入れたにもかかわらず、研修やフォロー体制が整っていない。その結果、「使えない人を採用した」という評価になってしまうことがありますが、本質的な原因は企業側の準備不足にあります。
「変な人」「使えない人」という評価の危うさ
中途採用者が職場に馴染めない場合、それを個人の資質だけで判断するのは危険です。業界特有の常識、社内ルール、暗黙知などは、未経験者には分からないことが多いためです。
また、前職でのやり方と現在の職場文化が合わないだけで、「変な人」というレッテルを貼られるケースもあります。評価すべきは、その人が適切な情報と指示を与えられた環境でも成果を出せないのかどうか、という点です。
企業が本来やるべき中途未経験者への対応
未経験者を中途採用する以上、企業側には教育・フォローの責任があります。具体的には、業務フローの明文化、OJT担当の明確化、期待値の段階的設定などが欠かせません。
これらを行わず、「即戦力じゃない」「期待外れだ」と評価するのは、公平とは言えません。採用とは、企業と個人の契約であり、その前提条件を崩してはいけないからです。
現場の不満が生まれる本当の理由
現場社員が中途採用者に不満を感じる背景には、多くの場合「教育する余裕がない」「業務設計が属人化している」といった構造的な問題があります。
つまり、問題は個人ではなく仕組みにあるケースが大半です。採用した人を活かせない職場は、今後も同じ問題を繰り返す可能性が高いと言えるでしょう。
まとめ:中途未経験採用は企業の覚悟が問われる
業界未経験者と理解して採用した以上、「即戦力が欲しい」という後出しの要求は筋が通りません。中途採用者が期待通りに活躍しない場合、少なくとも一部の責任は採用した企業側にあります。
中途未経験採用は、コストと時間をかけて人を育てる覚悟がなければ成立しません。その現実を直視せず、個人だけを責める職場には、根本的な組織課題が潜んでいる可能性が高いと言えるでしょう。


コメント