標準原価計算における予算差異の算出方法の違いと計算式の理解

簿記

標準原価計算において、予算差異を出す方法について混乱することがあるかもしれません。特に、変動費用と固定費用に関連する計算方法の違いについて理解しておくことは重要です。本記事では、標準原価計算の予算差異を求める際の計算式の違いと、その使い方についてわかりやすく解説します。

予算差異の計算式の基本

標準原価計算における予算差異の計算式は、主に2つの方法があります。1つ目は、変動比率と実際直接作業時間を使った計算式、2つ目は固定予算額と実際発生額を使ったシンプルな計算式です。

具体的な計算式は以下の通りです。

  • ①変動比率×実際直接作業時間+固定費予算額-実際発生額
  • ②固定予算額-実際発生額

① 変動比率と実際作業時間を使った計算式

変動比率×実際直接作業時間+固定費予算額-実際発生額という式は、主に変動費用と固定費用の両方を考慮した計算方法です。変動費用は、実際の作業時間や生産量に比例して変動するため、その影響を反映することができます。

たとえば、ある製造業の会社で、1時間あたり1000円の変動費用がかかるとします。実際に1000時間働いた場合、変動費用は1000円×1000時間=100万円となります。このように、変動費用を計算することで、実際のコストと予算との差異をより正確に把握できます。

② 固定予算額と実際発生額を使った計算式

一方、固定予算額-実際発生額という式は、固定費用の予算と実際の発生額だけを比較します。この方法では、変動費用の影響は無視されるため、簡便ではありますが、変動費用を考慮することができません。

たとえば、固定予算額が50万円で、実際発生額が60万円の場合、予算差異は-10万円となります。この方法は、変動比率が不明な場合や、固定費のみの管理が必要な場合に有効です。

変動比率、固定比率が不明な場合の対応方法

質問にもあるように、もし変動比率や固定比率が記載されていない場合、②の式を使用しても問題ありません。しかし、変動比率や固定比率を求める方法があるので、それを理解しておくことも重要です。

変動比率や固定比率は、過去のデータを元に計算することができます。例えば、過去の直接作業時間と費用のデータを使って、変動費用がどのくらいの割合で増減するかを求め、その比率を今後の予算計算に活用することができます。

実際の例を使った比較

次に、具体例を使って両者の計算方法の違いを見ていきましょう。

仮に、以下の条件が与えられたとします。

  • 変動比率:500円(1時間あたり)
  • 実際直接作業時間:800時間
  • 固定費予算額:30万円
  • 実際発生額:35万円

この場合、①の式を使うと。

500円×800時間 + 30万円 – 35万円 = 40万円 + 30万円 – 35万円 = 35万円

②の式を使うと。

30万円 – 35万円 = -5万円

①の式では、変動費用を加味した計算がされるため、より正確な予算差異が求められることがわかります。

まとめ

標準原価計算における予算差異を出す方法には、変動比率を使った計算式と固定費用を使ったシンプルな計算式があります。変動比率がわかっている場合は、①の式を使うことが推奨されますが、変動比率が不明な場合や固定費のみを管理する場合は、②の式を使っても問題ありません。

実際に自社のデータをもとに、適切な方法を選択し、予算差異を計算することが重要です。また、変動比率や固定比率は過去のデータを使って算出することができるため、今後の予算計算に役立てていきましょう。

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