税効果会計において、DTA(繰延税金資産)や法調(法人税調整)の計算方法について、特に株主資本の変動に関連する問題では混乱することがあります。この記事では、簿記の税効果会計に関する基本的な考え方と、具体的な仕訳手順についてわかりやすく解説します。
1. 税効果会計とは
税効果会計は、税金を会計上の利益と実際に支払う税金との間で発生する差異を調整するための方法です。この差異は、税法と会計基準が異なるために発生します。企業の税務状況を正確に反映させるためには、この調整が必要です。
税効果会計では、繰延税金資産(DTA)や繰延税金負債(DTL)を計上し、税引前利益と実際に支払う税金額との差額を調整します。
2. 質問の状況における税効果会計の計算手順
問題では、その他有価証券の保有に関連する税効果会計が求められています。この場合、株主資本直入法(純資産直入法)を採用しています。株主資本直入法では、株主資本の変動をそのまま純資産に反映させる方法です。
問題の条件に従い、税効果会計の計算手順を見ていきましょう。以下のポイントを確認します。
- 取得時:20,000円
- 前期末時価:18,000円
- 当期末時価:19,000円
- 法定実効税率:30%
3. 解答の計算過程と仕訳
この場合、税効果会計の計算は次のように進みます。
まず、評価差額(時価の変動分)を計算します。前期末時価と当期末時価の差は1,000円です(19,000円 – 18,000円)。次に、この差額に法定実効税率を掛けて、税効果を算出します。
評価差額1,000円に30%の税率を掛けると、税効果額は300円となります。これが、DTA(繰延税金資産)として計上される金額です。
この場合、借方に「DTA 300」を計上し、貸方に「法調 300」を計上することになります。これは、当期に発生した税効果を反映させるための仕訳です。
4. DTAと法調の役割
DTA(繰延税金資産)は、将来的に税金を減少させることができる資産であり、法調(法人税調整)は、法人税の支払いに関する調整を行う勘定科目です。
ここで、DTAの計上は、将来税金が減少することを意味し、企業の税務上の負担を軽減します。法調の計上は、税務上の利益と会計上の利益との差異を調整するために使用されます。
5. まとめと注意点
税効果会計の計算は、企業の会計処理において非常に重要です。特に、株主資本直入法を採用している場合、評価差額の調整を正確に行う必要があります。
今回のケースでは、株主資本の評価差額に基づいて、DTAと法調を適切に計上することが求められます。これにより、税効果会計を正しく反映させ、財務諸表を適切に作成することができます。


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