日本政策金融公庫の創業融資は、初めて独立する人にとって非常に頼りになる制度ですが、審査の基準や通過しやすいポイントが見えづらいと感じる方も多いです。特に自己資金の扱いや、過去のキャリアがどう評価されるのかは気になる部分です。この記事では、創業融資の通りやすい条件や審査のポイントを、具体例を交えながら分かりやすく解説していきます。
創業融資の審査で重視される3つの主要ポイント
日本政策金融公庫の創業融資では、主に「経験」「自己資金」「事業計画」の3つが重要視されます。これらは単体で判断されるのではなく、総合的に評価されるのが特徴です。つまり、どれか1つが突出していても、他が弱ければ審査が通りにくいこともあります。
例えば、業界での経験が豊富であれば、事業の成功可能性が高く評価され、有利に働きます。一方で、経験が浅くても自己資金が十分にあることで信頼性が補われるケースもあります。このように、複数の要素が組み合わさることで審査の通過率が左右されます。
業界経験10年は大きなプラス評価になる理由
フローリストとして10年の実務経験があり、さらに店舗運営・デザイン・スタッフ育成まで手掛けていたという経歴は、創業融資の審査において非常に高く評価されるポイントです。公庫が最も重視するのは「事業を成功させられる能力があるか」であり、長年の実務経験は成功の根拠として強い説得力を持ちます。
実際、同業種で長年働いた人が独立するケースは審査担当者からも好印象で、数字だけでなく、実績や業務内容の深さが審査に良い影響を与えます。特に店舗運営や後輩育成の経験は「経営の基礎能力がある」と見なされるため、さらに高い評価につながります。
自己資金270万円+投資信託600万円はどう評価されるか
創業融資の審査において、自己資金の額は非常に重要視されます。一般的に、日本政策金融公庫は「自己資金=事業にかける本気度」と捉えるため、ここが少ないと審査が厳しくなりがちです。預金270万円は十分に評価される金額であり、今回の融資希望額250万円に対しても適正な水準と言えます。
また、投資信託の600万円については、原則として「すぐに引き出せる現金かどうか」がポイントとなります。例えば、すぐに換金可能な投信であり、必要に応じて資金化する意思があることを説明できれば、自己資金として一定程度評価される場合があります。ただし、預金ほどの評価にはならないため、事業計画書に記載する際は「換金が可能な準自己資金」として扱うのが一般的です。
身内からの借入を自己資金に見せるのは有効か?
創業計画書において、身内からの借入を資金として記載することは可能です。しかし、日本政策金融公庫は「返さなくてよい資金=自己資金」と考えるため、借入で自己資金額を増やしても、本質的な評価が上がるわけではありません。むしろ、借入が増えることで負債比率が上がり、マイナスに働く可能性すらあります。
例えば、100万円を家族から借りたとしても、それは「返済義務のある負債」です。担当者に「この部分がなければ自己資金が不足していたのでは」と逆に突っ込まれる可能性もあるため、無理に身内から借入を追加する必要はありません。自己資金270万円+投信600万円という現状で十分評価されるケースが多いです。
融資額250万円は妥当?審査通過の可能性と注意点
今回の希望額250万円は、自己資金や経歴から見ても非常に妥当であり、審査の難易度も高くありません。むしろ、同業で10年の経歴があり、店舗運営経験もあるという点から、創業融資としてはむしろ通りやすい部類と言えます。
ただし、注意すべきは「返済可能性の説明」です。月々の返済額が生活を圧迫しないか、事業の売上計画が現実的か、開業後の資金繰りが無理のないものになっているかが重要になります。特に住宅ローンがある場合は、固定費として計上し、返済負担が過度になっていないかを説明する必要があります。
創業計画書で必ず押さえるべきポイント
創業計画書は審査の中核であり、ここで失敗するとどれだけ自己資金や経験が豊富でも審査が難しくなります。重要なのは、事業の成功ストーリーを数字で示すことです。具体的には、客単価、販売数、仕入れ条件、固定費などを現実的に設定し、収支計画に無理がないようにします。
たとえば、フラワーショップの例であれば、「結婚式の装花」「イベント装飾」「ギフト需要」「法人向け定期契約」など、複数の収益源を示すことで安定性をアピールできます。また、競合との差別化ポイント(デザイン性・サービス内容・立地)を明確に記すことで説得力が増します。
まとめ:今回のケースは融資に通りやすい条件が揃っている
業界経験10年、自己資金270万円、投資信託600万円、希望額250万円という条件は、創業融資として十分に通過が期待できる内容です。無理に身内から借入を増やす必要はなく、むしろ自身の経験と現実的な事業計画を丁寧に作り込むことが最も重要です。計画書さえしっかりしていれば、審査通過は十分に可能なレベルと言えます。


コメント