企業の財務分析や企業価値の算定において、FCFF(Free Cash Flow to Firm)の継続価値を求めることは非常に重要なプロセスです。質問の内容にもあるように、ある年度のFCFが500で、それが永続する場合、5%という割引率で割るという計算方法について疑問を抱く方も多いかもしれません。この記事では、なぜその割引率で割るのか、その背後にある理論を解説します。
FCFFとは?
まず、FCFF(Free Cash Flow to Firm)について簡単に説明しましょう。FCFFは企業が事業活動を通じて得たキャッシュフローのうち、株主や債権者への支払いを差し引いた後に残る、企業全体にとって自由に使える資金のことを指します。FCFFは企業価値の算定においてよく用いられ、将来のキャッシュフローを予測するために不可欠な指標です。
企業価値の算定には、将来のFCFFを「割引いて」現在価値を求める方法がよく使われますが、その計算の中で「永続価値(継続価値)」を求めることも重要です。
継続価値を求める理由
継続価値(Terminal Value)は、事業が永続的に続くと仮定した場合に、将来のキャッシュフローが安定した成長率で推移することを前提に求める価値です。通常、企業価値を算定する際には、予測可能な数年間のキャッシュフローを求め、その後の永続的な成長を見積もる必要があります。
そのため、企業が将来も継続的に収益を上げるという前提のもとで、最後の年度のFCFを使って永続的な価値を計算します。この時、将来のキャッシュフローを無限に続くものとして、安定した成長率(通常は低い成長率)を仮定し、その価値を求めるのです。
なぜ5%で割るのか?
質問にある「500 ÷ 5%」という計算方法では、500は最終年度のFCF(Free Cash Flow)を意味し、5%は「永続的成長率」を指す場合が多いです。ここでの5%は、企業が安定した成長を続けると仮定した際の長期的な成長率を表しており、割引率(ディスカウントレート)ではなく、成長率として機能します。
この計算式は、ゴードン成長モデル(Gordon Growth Model)に基づいており、企業価値を求める際に「永続的なキャッシュフロー」を計算するための標準的な方法です。ゴードンモデルの式は次のように表されます。
継続価値 = 最終年度のFCF ÷ (割引率 - 永続成長率)
例えば、割引率(WACC)が5%、永続的成長率が5%の場合、5%で割ることで事業の永続的な価値が計算されます。この方法で求めた永続価値は、将来の安定したキャッシュフローを現在価値に変換するためのものです。
割引率と成長率の違い
割引率(ディスカウントレート)と成長率(永続成長率)は異なる概念です。割引率は、投資家が将来のキャッシュフローを現在の価値に変換するための利率であり、企業が資本を調達するためのコスト(WACC:加重平均資本コスト)に基づいています。一方で、成長率は、将来のキャッシュフローの増加率を示し、事業の将来の成長を予測するためのものです。
したがって、FCFFの継続価値を求める際に使用する5%という数字は、企業の将来の安定した成長を反映した「永続成長率」であり、割引率とは異なることを理解することが重要です。
まとめ
FCFFの継続価値を求めるために「5%で割る」理由は、ゴードン成長モデルに基づくものであり、最終年度のFCFが永続的に続くという仮定のもとで、将来のキャッシュフローが安定的に成長することを反映しています。割引率ではなく、安定的な成長率を使って企業の価値を求めるための標準的な計算方法です。この考え方を理解することで、企業価値算定における重要な部分をしっかりと把握できるようになります。


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