年次有給休暇の5日取得義務と繰越分の取り扱いについて

労働条件、給与、残業

年次有給休暇の取得に関して、特に5日間の取得義務に関する理解は重要です。今回は、「前年の繰越分を使った場合、5日義務を果たしていないと言えるか?」という質問に焦点を当て、厚労省の指針に基づいた正しい解釈を解説します。

年次有給休暇の5日取得義務とは?

2020年の改正労働基準法により、年次有給休暇を取得することが義務化され、その中でも「少なくとも5日間は取得しなければならない」という規定が設けられました。この義務は、働く人々が健康的な労働環境を維持するために設けられたもので、企業側は年次有給休暇を取得させる義務があります。

この5日取得義務は、年次有給休暇が前年から繰り越されている場合でも適用されるため、繰越分を利用しても5日間を必ず取得しなければなりません。したがって、「前年分から5日を消化したから義務を果たしていないわけではない」という理解は誤りです。

繰越分を利用した場合の取り扱い

質問の中で指摘された「前年の分から5日使った場合でも、次の付与日の際に新たに20日が付与されるため、必ずしも5日義務を果たしていないわけではない」という見解は、法律上誤解を生む可能性があります。厚生労働省の資料に記載されているように、繰越分を使用しても、年内に5日間の取得義務を満たしていれば、義務は果たされたことになります。

重要なのは、使用した休暇が「前年分から繰り越された休暇であろうと、当年度の新たに付与されたものであろうと、5日間の取得義務は満たされる」という点です。従って、付与された休暇が何であれ、5日間は必ず取得する必要があります。

厚生労働省の指針を基にした解釈

厚生労働省の公式資料では、年次有給休暇の取得について、繰越分を利用しても5日取得義務に影響はないとされています。具体的には、「労働者が実際に取得した年次有給休暇が前年度からの繰り越し分のものであるか、当年度の基準日に付与されたものであるかは問わない」という記載があります。

これは、年次有給休暇の5日取得義務に関して、前年度の休暇が引き継がれている場合でも、新たに付与された有給休暇が使われる場合でも、5日間の取得が必須であることを強調しています。したがって、「前年分で5日取得したから義務は果たしている」という解釈は間違いです。

企業側の責任と義務の実行

企業側には、労働者が5日間の年次有給休暇を取得できるように配慮する責任があります。もし、労働者が5日間を取得できていない場合、企業側はその理由を適切に確認し、休暇取得を促す必要があります。

また、労働者が5日を取得したかどうかを確認する際、年次有給休暇が前年分から繰り越されている場合でも、取得日数が5日以上であれば義務を果たしたことになります。企業はこの義務を遵守し、労働者が過度な働き方をしないように調整する必要があります。

まとめ

年次有給休暇の5日取得義務に関して、前年の繰越分を使っても義務は果たしたことになります。「5日義務を果たしていない」という誤解が生じないように、繰越分を使用しても5日以上の取得が必要であることを理解しましょう。厚生労働省の指針に従い、適切に年次有給休暇を取得し、労働環境の改善に努めることが求められます。

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