M&Aで買収した企業の資金をどのように吸い上げるかについては、企業の財務構造やその後の経営戦略によって多くの方法が考えられます。特に、毎期生み出される利益ではなく、貸借対照表(BS)上のキャッシュを利用した資金吸い上げの方法には注意が必要です。本記事では、その方法について詳しく解説します。
1. M&A後にキャッシュを吸い上げるための基本的なアプローチ
M&A後の企業からキャッシュを吸い上げる方法にはいくつかの手法があります。まず、重要なのは企業の資金源を特定することです。通常、企業のキャッシュは銀行口座に残っている現金、売掛金、在庫などに集約されています。これらの資産を利用して、親会社に資金を供給する方法を選ぶことができます。
2. 利益還元とキャッシュの吸い上げ方法
利益還元型のアプローチでは、子会社の利益を親会社に配当という形で還元する方法があります。子会社が利益を上げている場合、親会社がその利益を吸い上げる手段として配当が一般的です。ただし、利益を配当として吸い上げるには税務上の制約や子会社の財務状況を考慮する必要があります。
3. 資本増強の手段としての借入
もう一つの方法は、親会社が子会社に対して借入を行い、キャッシュを親会社に移すという手法です。この場合、子会社が借入金を返済することで親会社に資金が流れることになります。ただし、借入金を返済するためには子会社が安定的なキャッシュフローを持っている必要があります。
4. 資産の売却やリースバック
企業が保有している不動産や設備などの資産を売却したり、リースバックすることで資金を調達する方法もあります。これにより、企業が保有する資産を現金化し、その資金を親会社に吸い上げることが可能です。資産売却やリースバックは、企業が即時にキャッシュを得られる一方で、将来的にリース料などの負担が発生する点に留意する必要があります。
5. まとめ
M&A後に子会社のキャッシュを吸い上げるためには、配当、借入、資産売却などさまざまな手法がありますが、各手法にはリスクや税務面での考慮が必要です。企業の財務状況や事業計画を十分に分析し、最適な手法を選択することが重要です。また、資金吸い上げに関する法的・税務的な問題についても十分な確認が必要です。


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