オーダーメイド製品の受注販売では、製品ごとに異なるサイズや仕様、数量が関わるため、適切な価格設定が難しいことがあります。特に、人件費をどのように計算し、価格に反映させるかは大きな課題です。この記事では、オーダーメイド製品の価格設定に役立つ方法を解説します。
原価計算の基本的な考え方
原価計算の基本は、材料費と人件費を含むすべての費用を積み上げ、製品ごとのコストを明確にすることです。しかし、オーダーメイド製品のように、注文内容によって労働時間が異なる場合、人件費の算出が難しくなります。まずは、年間の人件費を算出し、これを注文内容の特性に応じて適切に分配する方法を考えましょう。
具体的には、労働時間をベースにして、注文ごとの人件費を分配する方法が考えられます。例えば、過去の受注データをもとに、サイズ帯別や数量別にかかる工数を見積もり、その工数に基づいて人件費を割り当てます。
人件費の計算方法と注意点
人件費を計算する際、まずは年間の総労働時間を求め、それを基にして人件費の割り当てを行います。例えば、1年間で働いた総時間が1000時間の場合、その金額を注文内容に応じて按分する方法です。
しかし、オーダーメイドの場合、注文によって作業の難易度や時間が異なるため、平均的な計算では不正確な結果を招くことがあります。このため、注文ごとにかかる時間をしっかりと記録し、個別にコストを算出することが重要です。
積み上げ原価方式と他の原価計算方法
積み上げ原価方式は、実際のコストを積み上げて価格を決定する方法です。しかし、近年ではもっと柔軟な価格設定が求められるため、動的なコスト計算や変動費を考慮した方法が推奨されています。
例えば、時間ごとの作業単価や、受注量に応じた割引率を設定することで、大口注文に対してより柔軟に対応することができます。このように、積み上げ原価方式にとらわれず、受注内容に応じた柔軟な計算方法を取り入れることが競争力のある価格設定につながります。
大口注文と小口注文の価格差設定
大口注文には割引を適用し、小口注文には適正な価格を設定する方法は非常に効果的です。ここで重要なのは、割引率をどのように設定するかです。割引率が大きすぎると利益が減少しますし、逆に割引率が小さすぎると大口の受注を逃してしまう可能性があります。
割引率は、受注量に対するコスト削減効果を反映させることが大切です。例えば、大量生産によって材料費や時間の効率化が図れる場合、その分を割引として反映させることができます。このような方法で、大口注文に対して適切な価格を提供しながらも、利益を確保できます。
新しい価格設定方法の提案
新しい価格設定方法を検討する際は、コストプラス法を基本にしながら、需要と供給、競合他社の価格動向、顧客のニーズを反映させた柔軟な方法が必要です。特に、オーダーメイド製品の場合は、顧客の個別の要求に応じた対応が求められます。
また、定期的にコストや価格設定の見直しを行い、原材料費や人件費の変動に合わせて価格を調整することが、長期的な利益確保に繋がります。
まとめ
オーダーメイド製品の価格設定には、正確な原価計算と柔軟な価格調整が重要です。人件費を適切に計算し、注文内容に応じた価格を設定することで、赤字を防ぎながら利益を確保できます。また、大口注文に対しては効率化によるコスト削減を反映させた割引設定を行うことが効果的です。価格設定を見直すことで、より安定したビジネス運営が可能となります。


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