財務会計の問題において、リサイクリングやその他有価証券の売却に関連した計算は少し複雑に感じるかもしれません。特に、リサイクリングを行うかどうかによって、その他包括利益や純利益の取り扱いが異なります。この記事では、具体的な例題をもとに、リサイクリングを行った場合と行わない場合の計算方法を詳しく説明します。
1. 問題の内容と必要な計算
問題は、企業が保有しているその他有価証券を売却するケースです。この場合、取得原価が1,000で、売却価格が1,600、前期末時価が1,350です。リサイクリングを行う場合と行わない場合で、それぞれの利益にどのような影響が出るのかを計算します。
まず、リサイクリングを行う場合と行わない場合で計算に差が出る点は、売却益の計上方法です。リサイクリングを行う場合には、売却益がその他包括利益から純利益に振り替えられることになります。
2. リサイクリングを行った場合の計算方法
リサイクリングを行う場合、まず売却時に生じた利益はその他包括利益から振り替えます。計算式は次の通りです。
- その他包括利益の組替調整額 = 売却額(1,600) – 前期末時価(1,350) = 250
- 純利益 = 売却額(1,600) – 取得原価(1,000) = 600
- 包括利益 = 純利益(600) + その他包括利益(250) = 850
この場合、リサイクリングを行うことで、その他包括利益の組替調整額は250、純利益は600、包括利益は850となります。
3. リサイクリングを行わない場合の計算方法
リサイクリングを行わない場合、売却益はすぐに純利益として計上され、その他包括利益には影響しません。計算式は次の通りです。
- その他包括利益 = 0(組替調整がないため)
- 純利益 = 売却額(1,600) – 取得原価(1,000) = 600
- 包括利益 = 純利益(600) + その他包括利益(0) = 600
リサイクリングを行わない場合、その他包括利益は0、純利益は600、包括利益は600となります。
4. リサイクリングを行うかどうかの選択
リサイクリングを行うかどうかの選択は、企業の会計方針に基づいて決まります。リサイクリングを行う場合、その他包括利益の変動が純利益に反映されるため、企業の業績に与える影響を正確に把握できます。リサイクリングを行わない場合、売却益はすぐに純利益に計上されるため、利益が急激に変動することが少なくなります。
どちらの方法を選択するかは、企業の財務戦略や報告の目的によって異なります。業績の透明性を重視する場合には、リサイクリングを行う方が望ましいと言えます。
まとめ
財務会計におけるリサイクリングの取り扱いは、売却益の計上方法に大きな影響を与えます。リサイクリングを行う場合、その他包括利益の組替調整額が発生し、純利益と包括利益が異なる結果になります。一方、リサイクリングを行わない場合、売却益はすぐに純利益として計上されます。
これらの計算方法を理解し、実際の会計処理に役立てることが重要です。
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