先物取引における仕訳と計算方法:買い建て・売り建ての理解

会計、経理、財務

先物取引に関する簿記問題では、契約時、決算時、決済時における仕訳と計算が求められます。特に、買い建てと売り建ての側の仕訳に関する理解が重要です。今回は、具体的な取引の仕訳を通じて、先物取引における取引差金や証拠金の処理について解説します。

① 契約時の仕訳

まず、契約時には、買い建て(または売り建て)の取引が成立します。この段階では、証拠金が現金で差し入れられます。例えば、額面総額100,000(1,000口)の国債先物を額面100円につき93円で買い建てた場合、委託証拠金として現金2,000円が差し入れられる仕訳となります。

この時点では、買い手側と売り手側に違いはなく、どちらも証拠金の差し入れを行います。仕訳は以下のようになります。

  • 借方:先物取引差入証拠金 2,000
  • 貸方:現金 2,000

② 決算時の仕訳

決算時には、先物取引の時価が変動します。例えば、先物の価格が94円に上昇した場合、先物取引差金が発生します。この取引では、差額を「先物取引差金」として計上し、損益が発生します。

仕訳は次のように行われます。

  • 借方:先物取引差金 1,000
  • 貸方:先物損益 1,000

③ 決済時の仕訳

決済時には、反対売買を行って差金決済が行われます。この場合、先物取引の価格が97円に達した場合、最終的な差金が計算されます。買い建ての場合、97円で売却し、契約時との差額が最終的な利益として計上されます。

仕訳は以下の通りです。

  • 借方:現金 4,000
  • 貸方:先物取引差金 1,000
  • 貸方:先物損益 3,000

この仕訳における「先物損益 3,000」と「先物取引差金 1,000」の違いについてですが、先物取引差金は決済時に確定した差額、先物損益はその時点での利益を示しています。

買い建てと売り建ての証拠金差し入れ

証拠金の差し入れについて、買い建てと売り建てで逆になると思われるかもしれませんが、実際には両者ともに同様の処理を行います。買い建て・売り建てに関わらず、証拠金を差し入れることで、取引が成立し、その金額は現金で処理されます。

買い建て側と売り建て側では、証拠金の差し入れが同じ仕訳で行われます。借方に「先物取引差入証拠金」、貸方に「現金」として処理され、これは買い・売り双方で共通の仕訳です。

まとめ

先物取引における仕訳は、契約時、決算時、決済時にそれぞれ行う必要があります。買い建てと売り建ての取引において、証拠金の処理は同じですが、決済時の差金計算や損益計上には注意が必要です。また、先物損益や取引差金を理解し、適切な仕訳を行うことが重要です。試験に向けて、これらの仕訳をしっかり理解しておくことが合格への鍵となります。

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