営業利益、経常利益、純利益がプラスであるにもかかわらず、営業キャッシュフロー(営業CF)がマイナスになる現象は、企業の財務分析においてよく見られます。これにはいくつかの理由があり、単純な利益指標だけでは企業の実際のキャッシュフローの状況を把握できないことを示唆しています。この記事では、なぜこのようなことが起こるのか、その理由と背景について詳しく解説します。
営業利益、経常利益、純利益とは
まず、営業利益、経常利益、純利益について簡単に説明します。営業利益は本業で稼いだ利益を示し、経常利益は営業利益に金融収益や支出を加味したものです。純利益は、経常利益から特別利益や税金などを差し引いた最終的な利益を指します。
これらの利益指標は、企業の収益性を測るための重要な指標ですが、必ずしもキャッシュフロー(現金の流れ)と一致するわけではありません。利益は、現金の流れと必ずしも直結しないため、営業CFがマイナスになることがあります。
営業CFがマイナスになる理由
営業キャッシュフロー(営業CF)は、企業が本業でどれだけ現金を生み出しているかを示す指標です。営業利益がプラスであっても、営業CFがマイナスになる主な理由には以下のようなものがあります。
1. **減価償却の非現金支出**: 減価償却費は、現金の支出を伴わない会計上の費用です。これが営業利益には含まれますが、営業CFには加算されます。しかし、営業CFがマイナスの場合、減価償却費以外で現金の流出が大きい可能性があります。
2. **在庫の増加**: 企業が商品や原材料の在庫を増加させると、現金が使われますが、これは営業利益には反映されます。つまり、在庫が増えると営業利益はプラスでも、営業CFがマイナスになることがあります。
利益とキャッシュフローの違い
利益とキャッシュフローは似たような概念に思えるかもしれませんが、大きな違いがあります。利益は、売上から費用を引いたものですが、キャッシュフローは実際に企業の手元に現金がどれだけ残っているかを示します。
例えば、売上があっても、その代金がまだ支払われていない場合、利益として計上されますが、キャッシュフローには反映されません。逆に、支出があっても現金が後払いであれば、現金の流れには影響しませんが、利益には影響します。
実際の例:営業利益がプラスでも営業CFがマイナスの場合
例えば、ある企業が高額な設備投資を行い、その支払いを現金で行った場合、営業利益はプラスでも、営業CFがマイナスになります。このように、設備投資などの支出が現金の流れに大きな影響を与えることがあります。
また、取引先への売掛金が増えると、利益は増えても現金の流れはマイナスになる場合があります。このようなことが繰り返されると、営業CFがマイナスとなり、経営者は現金の管理に注意が必要です。
まとめ
営業利益や経常利益、純利益がプラスであっても、営業キャッシュフローがマイナスになることは十分にあり得ます。その主な原因としては、減価償却、在庫の増加、売掛金の増加、設備投資などが考えられます。利益とキャッシュフローは異なる指標であり、両者の違いを理解し、キャッシュフローを適切に管理することが重要です。
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