利息法と定額法は、償却原価を計算するための代表的な方法です。今回は、A社からB社に対する貸付金を例にとり、両方法による償却原価の求め方を解説します。具体的な計算手順を通じて、貸借対照表をどのように作成するかも確認していきます。
事例の概要
2023年4月1日に、A社からB社に対して貸付金¥800,000が現金¥767,012で取得されました。返済期日は2026年3月31日で、利子年率は3%、実行利子率は4.5%です。利払日は年1回3月31日で、取得差額は金利の調整差額として認められます。この条件に基づいて、償却原価を計算します。
利息法による償却原価の計算
利息法では、毎年の償却原価が貸付金残高に実行利子率を掛けた金額として求められます。利息法における償却原価は、最初に支払った現金額(¥767,012)と、実行利子率(4.5%)を掛け合わせて計算します。
- 初年度の償却原価:¥767,012 × 4.5% = ¥34,515.54
- 2年目以降の償却原価は、前年の償却原価を加えた残高に基づいて計算
定額法による償却原価の計算
定額法では、償却原価が毎年一定の金額となる方法です。ここでは、初年度に取得した貸付金(¥800,000)を返済期間(3年)で均等に償却します。
- 定額法での償却原価:¥800,000 ÷ 3 = ¥266,666.67
- 毎年の償却原価が同じ金額で計算されます。
貸借対照表の作成
貸借対照表では、貸付金の償却を反映させるため、償却原価を差し引いて帳簿価額を求めます。利息法と定額法では、償却の計算方法が異なるため、貸借対照表の数字も異なります。
例えば、利息法の場合、初年度の償却後の帳簿価額は¥767,012 – ¥34,515.54 = ¥732,496.46となります。定額法では、毎年同じ償却原価が計上され、最終的には帳簿価額が減少していきます。
まとめ
利息法と定額法は、貸付金や債権の償却を計算するための重要な方法です。今回の事例を通じて、両者の計算方法の違いと、それが貸借対照表にどのように影響するかを理解することができました。どちらの方法も適切に用いることで、企業の財務状況を正確に反映することができます。
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