意匠法について、日本と欧州の違いに関して混乱することがあるかもしれません。特に、日本における関連意匠制度と欧州での出願制度に関しては、理解を深めることが重要です。本記事では、両者の主な違いとそれが意匠の出願に与える影響について解説します。
日本の意匠法と関連意匠制度の概要
日本の意匠法では、令和の法改正により、関連意匠の制度が変更されました。これにより、基礎意匠に対する類似範囲でなくとも、連鎖的に関連意匠が認められるようになりました。具体的には、基礎意匠から最大10年以内に関連意匠を出願することができます。このように、日本の意匠法では関連意匠の出願における範囲が広がり、一定の柔軟性を持っています。
その一方で、関連意匠として認められるためには、創作非容易性が必要であり、基礎意匠と類似性が高いため、場合によっては創作非容易性が欠如する可能性も考えられます。
欧州の意匠法と類似意匠の出願制度
欧州の意匠法には、日本のような「関連意匠」の制度は存在しません。その代わり、類似意匠を一括で出願することができる制度が採用されています。これにより、同一の意匠に対して複数の類似したバリエーションを同時に出願することが可能です。
欧州では、類似意匠が一括して出願されるため、特定の意匠がどの範囲で類似しているかを明確に区別する必要があります。このため、出願された意匠が特定の類似範囲において創作非容易性があることを示さなければならない場合があります。
日本の関連意匠が欧州で拒絶される可能性
日本で関連意匠として認められた意匠が、欧州でどのように評価されるかは、創作非容易性の観点から異なります。日本の関連意匠は、基礎意匠との類似性を重視して出願されるため、欧州の基準で見ると創作非容易性が欠如しているとされ、拒絶されることが考えられます。
そのため、日本で関連意匠として登録された意匠を欧州に出願する場合、単に類似しているというだけではなく、創作非容易性が十分に証明される必要があります。欧州では、意匠の独自性がより厳しく評価されるため、日本の関連意匠が必ずしもそのまま通用するわけではない点に留意する必要があります。
まとめ
日本と欧州の意匠法には明確な違いがあり、特に関連意匠制度と類似意匠の出願制度においては、アプローチが異なります。日本では基礎意匠に基づく関連意匠が出願可能ですが、欧州では複数の類似意匠を一括で出願することが一般的です。そのため、日本で関連意匠として認められた意匠が、欧州でそのまま通るとは限りません。欧州での出願にあたっては、創作非容易性を証明する必要があり、十分に慎重な対応が求められます。