簿記の税効果会計において、法人税等調整額を貸方に計上することについて納得できないという質問をよく耳にします。特に、収益でもないのに法人税等調整額を貸方に計上し、その後費用からマイナスする形が気になるという方が多いです。この記事では、その理論的背景や仕組み、そして質問者が提案する方法について考察していきます。
法人税等調整額の貸方計上の背景
税効果会計における法人税等調整額の貸方計上は、企業の会計上の税引前当期純利益に対して発生した税金を調整するために行われます。この調整は、将来の税金負担が発生するタイミングと税金の支払い時期がずれることを反映させるために必要です。
法人税等調整額の貸方計上は、企業が税務署に支払うべき税金を調整する役割を担っています。この方法は税法上の繰越利益や繰越欠損金などに基づいて、今後の税務上の負担を合理的に反映させるために採用されています。
なぜ貸方に計上するのか？
貸方に計上する理由は、将来的に発生する税金支払いの負担を軽減することにあります。税効果会計では、法人税等調整額を費用に計上することがない場合、税金が過剰に認識されてしまう可能性があるため、調整を行うことで税金負担のタイミングを正確に反映させます。
そのため、法人税等調整額の貸方計上は、税引前当期純利益の金額に適切な調整を加える役割を果たしており、会計と税務の整合性を保つために不可欠な手続きとなっています。
質問者の提案方法について
質問者が提案している「税引前当期純利益による法人税等」を計算し、その金額に法人税等調整額の貸方計上額を加えて「法人税等」として計上する方法についてですが、これは理論的には可能です。しかし、税務会計では、実際にどのタイミングで税金負担が発生するのかを正確に反映するために、貸方に計上して調整する現在の方法が選ばれています。
提案方法だと、計算上は簡便に思えるかもしれませんが、税効果会計においては将来の税負担を正確に見積もるために、貸方での調整が適切とされています。この方法が採用されているのは、会計基準として安定した運用が求められるためです。
税効果会計の他の勘定科目について
税効果会計において、他にも調整が必要となる勘定科目は多数存在します。例えば、繰越欠損金の繰り延べや、未払法人税の調整などがそれにあたります。これらの調整科目は、将来の税負担や税金支払いのタイミングを見越して行われるため、法人税等調整額の貸方計上はその一環として位置づけられています。
これらの勘定科目の運用方法を理解することが、税効果会計を正確に適用するための鍵となります。
まとめ
法人税等調整額の貸方計上については、税効果会計における重要な調整手段であり、将来の税負担を合理的に反映させるために採用されています。質問者が提案する方法も理解できますが、現行の会計基準に従って貸方で調整を行うことで、税務上の整合性が保たれます。
他にも税効果会計に関する理解を深めるために、繰越利益や繰越欠損金などの調整手続きについて学ぶことが重要です。
