土木工事における設計変更について、実務でよく見かける言葉が「設計変更の対象とする」と「設計変更の対象としない」です。これらは、工事の進行中に指示書や変更通知に記載されることが多く、特に公務員や受注者にとって理解が重要です。しかし、この表現が意味する内容については、混乱することもあります。
設計変更の基本的な考え方
まず、設計変更とは、元々の設計に対して何らかの変更が加えられることを指します。これにより、工事の内容や仕様、材料、納期などが変更される場合があります。設計変更には、設計図や仕様書の改訂が含まれ、その変更に伴い工事費用や施工スケジュールにも影響を与えることがあります。
「設計変更の対象とする」とは
「設計変更の対象とする」という表現は、工事の進行中に新たに必要な変更を指し、最終的に変更設計書が作成されることを意味します。つまり、元々の設計から変更を加えることが前提となります。例えば、施工現場で新たに発生した問題を解決するために設計を変更する場合です。
例えば、地下に予期しない障害物が現れ、それを取り除くために設計を変更する場合、設計変更の対象として扱います。この変更により、施工業者は新たな指示書を受け取り、改訂された設計図に基づいて工事を続けます。
「設計変更の対象としない」とは
一方で、「設計変更の対象としない」とは、変更があっても設計書自体を変更する必要がない場合に使われます。例えば、工事の進行中に発生した些細な調整や変更に関しては、設計書の改訂は行わず、指示書だけで対応することがあります。
具体的には、施工業者が事前に決められた材料の調達を変更した場合でも、その変更が設計図に反映されない場合に「設計変更の対象としない」と記載することがあります。これにより、設計書を更新する手間が省かれ、工事の進行がスムーズに進むことができます。
設計変更対象としない場合の金額変更
質問にあったように、「設計変更の対象とするが、金額は変更しない」というケースもあります。この場合、変更内容が設計書に反映されないにもかかわらず、何らかの調整が行われた結果、金額に影響を与えないことを意味します。
例えば、工事途中で特定の部品を変更する必要が出てきた場合、工事の仕様が変わっても、その変更によって最終的な工事費が増減しない場合、「設計変更の対象とするが、金額は変更しない」と記載されます。このような記載は、契約条件を保つために重要な意味を持ちます。
具体例で理解する設計変更の扱い
例えば、道路工事において、施工中に予期せぬ地下埋設物が発見された場合を考えます。設計変更の対象として、この障害物を取り除くための新たな工法が提案されることがあります。この時、設計変更書を作成し、変更点を明記する必要があります。しかし、もしこの変更が金額に影響しない場合には、変更設計書を作成する必要はなく、「設計変更の対象としない」として処理されることもあります。
まとめ
「設計変更の対象とする」と「設計変更の対象としない」の違いは、変更内容が設計書に反映されるかどうかにあります。実際の現場では、金額や工期に影響を与える場合は「設計変更の対象」として、新たな設計書を作成します。一方で、些細な変更や金額に影響しない変更に関しては「設計変更の対象としない」として、指示書のみで対応することがあります。これらの表現を正しく理解し、現場での指示や対応を円滑に進めることが求められます。