会計監査において、売上の計上が期末日にずれることはよくあります。特に、決算期が3月の場合、売上のカットオフエラーはよく発生します。今回のケースでは、2月に計上すべき売上が3月に計上されていた場合、この状況が監査に与える影響について考える必要があります。この記事では、売上のカットオフエラーの定義と、その影響をどう監査意見に反映させるかについて解説します。
カットオフエラーとは?
カットオフエラーとは、会計期間が終了するタイミングで売上や費用が正確に計上されなかった場合を指します。つまり、売上や費用が適切な会計期間に計上されていない状態です。このエラーは、例えば、売上を翌月に計上すべきところを前月に計上してしまった場合や、その逆のケースが該当します。
今回のケースでは、2月に計上すべき売上が3月に計上されたため、売上金額としては年間通しての合計に影響がないものの、決算月の売上計上タイミングがずれたという意味でカットオフエラーに該当します。
カットオフエラーが監査に与える影響
カットオフエラーが発生した場合、監査人はそのエラーが財務諸表に及ぼす影響を評価する必要があります。質問者が述べているように、月ずれが生じているものの年間の売上金額には変更がない場合でも、監査人はそのエラーが「僅少な虚偽表示額ではない」と評価しなければならない場合があります。
この場合、監査人はエラーが財務諸表の公平性に与える影響を評価し、影響が重大であると判断されれば、その旨を監査意見に反映させる必要があります。ただし、年間の売上に大きな影響を及ぼさない場合でも、正しい会計基準に基づく修正が求められる場合があります。
虚偽表示額の算定と監査意見の検討
質問者が述べているように、虚偽表示額を算定してその影響を検討することは、監査の基本的なプロセスの一部です。具体的には、売上のカットオフエラーが年間の売上にどれだけ影響を与えるかを計算し、その金額が監査意見に与える影響を判断します。企業の決算において、売上の期末計上が適切でない場合、監査人はその影響を正確に評価し、必要に応じて修正を求めることになります。
ただし、質問者が指摘しているように、修正ができない場合(例えば、さかのぼって修正が不可の場合)でも、そのエラーが財務諸表に及ぼす影響が限定的であれば、監査意見は「適正」である可能性もあります。しかし、影響が重大であれば、修正の必要性を指摘する意見が求められます。
結論: 監査意見に与える影響と対処方法
このケースでは、2月に計上すべき売上が3月に計上されていたため、カットオフエラーに該当します。しかし、年間の売上金額には影響がないため、その影響が重大であると判断されることは少ないでしょう。それでも、監査人はそのエラーが財務諸表に与える影響を検討し、必要に応じて意見を反映させることが求められます。
したがって、修正が不可であっても、カットオフエラーが会計に与える影響を正確に評価し、財務諸表が適正に表示されているかを判断することが監査人の責任です。最終的には、エラーの影響が軽微である場合には、監査意見に影響を与えないとされることもあります。