プロダクトポートフォリオマネジメントにおける市場成長率と市場占有率の算出方法と代替指標

企業と経営

プロダクトポートフォリオマネジメントは、企業が多様な製品やサービスの中で戦略的な意思決定を行うための重要なツールです。特に、製品や事業がどのポジションに位置するかを理解することは、その成功に欠かせません。本記事では、市場成長率や市場占有率を用いたプロダクトポートフォリオマネジメントの基本的な考え方と、それらをどのように算出するのか、さらに代替となる指標について解説します。

プロダクトポートフォリオマネジメントの基本概念

プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)は、企業の製品群や事業を管理し、最適化するためのフレームワークです。PPMでは、各製品や事業がどの位置にいるかを判別するために「市場成長率」と「市場占有率」を使用します。この2つの指標は、企業が将来の投資やリソース配分を決定するために非常に重要です。

PPMの代表的な手法として「BCGマトリックス(ボストン・コンサルティング・グループ・マトリックス)」があります。これは、製品や事業を「金のなる木(Cash Cows)」、「問題児(Question Marks)」、「花形(Stars)」、「負け犬(Dogs)」という4つのカテゴリに分類するためのものです。この分類は、市場成長率と市場占有率を基にしています。

市場成長率と市場占有率の算出方法

市場成長率は、特定の市場がどれくらい成長しているかを示す指標です。一般的には、過去1年や数年間の売上高の増加率を使用します。具体的には、次のように計算されます。

市場成長率(%) = [(今年の市場規模 – 昨年の市場規模) / 昨年の市場規模] × 100

例えば、ある市場の今年の規模が1,000億円で、昨年の規模が800億円だった場合、市場成長率は25%となります。

次に、市場占有率は、企業がその市場で占めるシェアを示します。計算方法は次の通りです。

市場占有率(%) = (自社の売上高 / 市場全体の売上高) × 100

例えば、自社の売上高が200億円で、市場全体の売上高が1,000億円であれば、自社の市場占有率は20%です。

BCGマトリックスでの分類と事例

BCGマトリックスでは、市場成長率と市場占有率の2つの軸を使って、事業や製品を以下の4つのカテゴリに分類します。

  • 金のなる木(Cash Cows):市場占有率が高く、市場成長率が低い製品や事業。安定した収益を生み出します。
  • 花形(Stars):市場占有率が高く、市場成長率も高い製品や事業。将来の成長が見込めます。
  • 問題児(Question Marks):市場占有率は低いが、市場成長率が高い製品や事業。投資次第で大きな成長が期待されます。
  • 負け犬(Dogs):市場占有率も市場成長率も低い製品や事業。リソースを割く価値が低いとされます。

例えば、スマートフォン市場において、ある企業が新しく発売した製品が市場占有率は低いが、成長率が高いとします。この製品は「問題児(Question Marks)」に分類され、積極的な投資が求められる場合があります。

代替指標の提案

市場成長率や市場占有率に加えて、他にも有用な指標があります。例えば、「利益率」や「投資収益率(ROI)」などは、製品や事業の収益性を測るための指標です。また、「顧客満足度」や「ブランド認知度」も、市場の成長性を示唆する要素となります。

具体的には、利益率は、売上高に対する利益の割合を示し、企業の効率性や収益性を把握するのに役立ちます。例えば、ある事業が利益率20%である場合、売上高1000万円に対して200万円の利益を上げていることを示します。

まとめ

プロダクトポートフォリオマネジメントにおける市場成長率と市場占有率は、製品や事業の戦略的な位置づけを判断するための重要な指標です。これらの指標を基にしたBCGマトリックスを使用すると、事業の現在のポジションを把握し、今後の投資方針やリソース配分の決定に役立ちます。さらに、市場成長率や占有率だけでなく、利益率やROIなどの代替指標も、製品の戦略をより詳細に評価するために有用です。

タイトルとURLをコピーしました