災害時に帰宅困難となった従業員が職場で過ごす際、仮眠室や休養室の設置が求められる場面があります。特に、男女別のスペースの確保について、労働安全衛生規則第六百十八条の規定が適用されるのか、また、仮眠室としての義務があるのかどうかについて不明点が多いという質問があります。この記事では、この問題について解説し、適用の範囲を明確にします。
労働安全衛生規則第六百十八条とその目的
労働安全衛生規則第六百十八条は、主に従業員が体調不良に陥った際の休養室の設置義務について記載されています。この規定の目的は、健康に配慮した労働環境を整備し、体調不良者が休養を取れるスペースを確保することです。しかし、この規定が「仮眠室」に適用されるかどうかは、状況によって異なります。
仮眠室はあくまで「休養室」として、体調不良に対して用意されるべき施設とされており、災害時における一時的な休息のためのスペースとは異なります。そのため、体調不良を伴わない仮眠では、必ずしも第六百十八条の規定が適用されるわけではありません。
帰宅困難者の仮眠と休養室の義務
災害時に帰宅困難となった従業員が職場で過ごし、仮眠を取る場合、その環境が「休養室」として提供されるべきかどうかは、使用目的に依存します。体調不良による休養ではない場合でも、仮眠室としての義務があると考える企業もあります。
ただし、仮眠室の義務はあくまで「夜間に労働者に睡眠を与える」場合に適用されるため、通常の業務時間外の仮眠では、その適用が求められることは少ないです。したがって、災害時に職場で仮眠を取る場合、その設置が義務となるのは、特定の状況下に限られます。
男女別のスペース確保について
第六百十八条に基づく「休養室」の設置には、男女別のスペース確保が求められる場合があります。特に、仮眠を取るための施設では、プライバシーの保護や快適な休養環境を提供するために、男女別にスペースを分けることが推奨されることがあります。
しかし、災害時の仮眠室において、強制的に男女別のスペースを設ける義務があるわけではなく、状況や施設の状況に応じて柔軟に対応することが求められます。特に、緊急時には一時的な休養のために仮眠を取る場合、男女別のスペース確保は必須ではないと考えられることもあります。
まとめ
災害時に帰宅困難となった従業員が職場で仮眠を取る場合、労働安全衛生規則第六百十八条の規定は、体調不良による休養が必要な場合に適用されます。従って、仮眠を取ることが目的の場合、規定の範囲外となることが多いです。男女別の仮眠スペースについては、プライバシーの配慮や施設の運営方針に基づいて柔軟に対応することが求められます。