簿記2級において、売買目的有価証券とその他有価証券の期末処理に関して混乱している方も多いかと思います。特に、期末評価後の翌期首における戻し入れについて、売買目的有価証券も同様に処理するのかが問題となります。この記事では、売買目的有価証券の処理方法について詳しく解説します。
売買目的有価証券の期末評価とは
売買目的有価証券は、企業が短期間で売却を目指す目的で保有している有価証券です。そのため、期末に評価を行い、評価差額を利益や損失として処理します。評価差額は、期末時点での時価で計算され、時価が取得原価より高ければ利益として、低ければ損失として計上されます。
評価差額が発生した場合、売買目的有価証券の評価を仕訳で行い、利益や損失を計上します。この評価は、売却または保有が続く限り、毎期行われます。
その他有価証券と売買目的有価証券の違い
その他有価証券とは、企業が長期的に保有することを目的としている有価証券です。その他有価証券も期末には評価を行い、評価差額を計上しますが、評価方法が売買目的有価証券とは異なります。その他有価証券では、評価差額は「その他の包括利益」として計上され、売却時に損益に計上されます。
売買目的有価証券とその他有価証券の違いは、評価差額の処理方法にあります。売買目的有価証券の場合、評価差額はすぐに損益計算書に反映されますが、その他有価証券では、評価差額は包括利益として処理される点が異なります。
期首の戻し入れ処理について
売買目的有価証券に関して、期末に評価を行った後、翌期首に戻し入れが必要かどうかについてですが、売買目的有価証券の場合も、基本的には期末評価を基に翌期首に「元の取得原価に戻す仕訳」を行います。つまり、期末評価を行った結果、評価損益が計上された場合でも、期首には元の取得原価に戻し入れる仕訳が必要となります。
これは、売買目的有価証券が主に短期間で売却されることを前提にしているため、評価差額が恒常的に影響を与えないようにするためです。評価差額は利益または損失として処理され、その後期首に戻されるため、企業の財務状況を正確に反映させるための重要な手続きとなります。
売買目的有価証券と期首の仕訳処理の注意点
売買目的有価証券の仕訳処理においては、評価差額を期末に反映させることと同時に、その評価差額が翌期首にどのように反映されるかが重要です。評価差額が発生した場合、その差額を利益または損失として計上し、その後に元の取得原価に戻す仕訳を行うことが求められます。
また、売買目的有価証券の評価差額が期末で損失となった場合でも、次の期首には元の取得原価に戻し入れを行うことで、将来の売却時における処理がスムーズに行えます。これにより、帳簿上の売買目的有価証券の評価は、常に実際の取得原価に近い状態を保つことができます。
まとめ
売買目的有価証券については、期末評価を行った後に翌期首に元の取得原価に戻す仕訳が必要です。評価差額はその期に計上されますが、期首には必ず元の取得原価に戻すため、売買目的有価証券を扱う際にはこの仕訳処理を忘れずに行いましょう。評価差額の処理は、企業の財務状況を適切に反映させるために非常に重要な手続きとなります。