簿記2級の工業簿記において、売上原価の計算は重要な部分です。しかし、問題文における「予定生産量」を使用した計算方法と、実際の数値を使った計算方法に違いがあるため、混乱することもあるでしょう。この記事では、なぜ予定生産量と加工費予算を使用して売上原価を求めるのか、実際の計算方法との違いを解説します。
売上原価計算における予定生産量と実際の違い
簿記の問題では、原価計算の際に予定生産量に基づく予定配賦額を使用することが一般的です。これは、企業が生産計画を立てる際に、予算に基づいて計画的に経費を配分し、予算との比較を行うためです。一方、実際の製造においては、実際の生産量や実際の経費が関係してきますが、予定生産量に基づいた計算はあくまで予算管理のための基準となります。
質問者が誤って実際の製造原価を用いた理由は、実際の数値がそのまま売上原価に反映されるという勘違いから来ている可能性があります。しかし、簿記の工業簿記では、原価管理の一環として「予定配賦額」を基に売上原価を算出するのが基本です。
予定配賦額と実際の差異
問題文での計算方法では、予定加工費（変動加工費と固定加工費）を予定生産量1200個に配分しています。このように、予定配賦額は予算管理の指標として用いられ、企業が実際の業績を予算と比較するために使用されます。例えば、変動加工費や固定加工費が予算通りに使われたかどうかを確認するための基準として「予定加工費」があります。
一方で、実際に生産した量や実際の経費をもとに計算することも重要ですが、それは後の差異分析で使用するものであり、売上原価計算自体には通常使われません。
売上原価を求める際の基本的な計算方法
売上原価を求める基本的な計算方法は次の通りです。まず、予定加工費を予定生産量に基づいて計算します。そして、その後、販売量に基づいて売上原価を求めます。例えば、次のように計算します。
- 直接材料費（変動費）：1000円
- 変動加工費：1500円
- 固定加工費：2000円
- 製造単価：4500円（1000円 + 1500円 + 2000円）
- 売上原価：4500円 × 1116個 = 5022000円
このように、予定配賦額を使用することで、実際の製造数に関わらず、予算に基づく計算を行うことが可能です。
まとめ
簿記2級の工業簿記では、売上原価の計算において「予定生産量」に基づいた予定加工費を使用するのが基本です。実際の製造原価を使うことは間違いではありませんが、売上原価計算の本来の目的は、予算管理のために予定配賦額を使用することです。今後、予定配賦額を使った計算をしっかり理解し、実際との違いを分析することが重要です。
