メガバンクの離職率は本当に低い?――実態と“数字に現れにくい”事情を整理する

就職、転職

「大手のメガバンクは安定していて離職率が低い」というイメージを持つ人も多いですが、実際には“低い”とも“一律に高い”とも言い切れないのが現実です。本記事では、最近のデータや報道、業界の構造をもとに、メガバンクの離職率について考えられる傾向と注意点を整理します。

そもそも“離職率”のデータは公開されていない銀行が多い

日本国内の主要メガバンク――たとえば、、など――は、離職率という形で明確な数字を公表していないケースがほとんどです。([参照])

したがって「離職率が低い/高い」を裏付ける公式統計はなく、「世間の評判」や「口コミ」「個別の事例」が情報源となるため、情報の信頼性や偏りに注意する必要があります。([参照])

公開されている「平均勤続年数」から見えること

例えば、中央銀行であるでは、2023年度の平均勤続年数が約 17.3年と報告されています。これは、一般企業の平均(2023年時点で約12.5年)と比べても長く、安定した勤務を続けやすい職場であると見る向きがあります。([参照])

ただし、この数値は“途中入行”や“転勤・配置換え”を含む正規の勤続年数であり、「若手の早期離職」「部署間の異動離職」「転職による離職」などは含まれない可能性があるため、“離職率の代理指標”として過信するのは避けたほうが良いでしょう。

なぜ「離職率が高い」という声も多いのか ― 背景にある働き方と期待のギャップ

報道や口コミでは、メガバンクの離職理由として「仕事内容が単調」「支店の雰囲気が合わない」「キャリアの天井を感じた」「ワークライフバランスが取れない」などが挙げられることが多くあります。([参照])

また、近年の金融業界の変化 ― デジタル化、フィンテックの台頭、収益構造の見直し ― によって、業務内容や将来のキャリアパスの不透明さを懸念する若手社員が増えている、という指摘もあります。これにより、入行後数年以内に離職を選ぶ人が一定数いるようです。([参照])

若手離職と全体の平均勤続年数のギャップ ― 見えにくい“離職の流動性”

たとえば、銀行業・保険業全体の離職率の統計では、年あたり約7〜8%という数値が報告されることがあります。([参照])

しかし、これはあくまで「1年あたりの離職率」の平均値であり、メガバンク内部/支店ごとの事情、部署異動、転職、休職などの「離職しにくいが離れる/異動する」働き方の多様化によって、“実質の離職率・定着率”は個人の価値観やライフステージによって大きく異なります。

「離職率が低い or 高い」――どちらとも言えない現状と、見極めのポイント

結論として、「メガバンクだから離職率が低い」と断言するのは難しいです。また、「金融業界 = 離職率が高い」とも言い切れません。

重要なのは「どの支店・部署か」「その時期の経営状況か」「個人のキャリア観やライフスタイルか」といった“条件”次第であり、銀行全体での一律評価はできないということです。

メガバンクへの就職を考える人へのアドバイス

もしあなたがメガバンクへの就職を考えているなら、離職率だけで判断せず、下記のような視点も持ってみましょう。

  • 配属先や仕事内容のバリエーションを確認する(支店、渉外、法人営業、バックオフィスなど)
  • ライフステージの変化に応じた働き方の柔軟さや制度(転勤、残業、休暇、異動)を把握する
  • 自分の価値観やキャリアプランと、銀行の業務内容・将来性との整合性を考える

まとめ

メガバンクは確かに待遇や規模、社会的信用の面では安定感があります。一方で「離職率が低く長く勤められる会社」というイメージは、統計上裏付けされているわけではありません。

ただ、“平均勤続年数が長め”“待遇や福利厚生の安定”“多様なキャリアの可能性”という強みはあり、「働き方・配属先をよく知ったうえで選べば、長く続けられる環境になりやすい」という見方は妥当でしょう。

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