小売業における値下げ時のPLとBSへの影響と決算仕訳

会計、経理、財務

小売業において、特にアパレルや小物雑貨、お菓子などの販売では、在庫を早く売り切るために、原価(下代)をそのままにして、上代を値下げすることがあります。このような値下げが会社のPL(損益計算書)やBS(貸借対照表)にどのような影響を与え、決算仕訳でどのような処理が行われるのかについて詳しく解説します。

値下げがPL(損益計算書)に与える影響

値下げを行うと、販売価格が下がるため売上高は減少します。一方で、原価(下代)は変わらないため、売上総利益(粗利益)が減少します。これが直接的にPL(損益計算書)の営業利益や最終利益に影響を与えます。例えば、値下げによる売上高の減少が、経費を差し引いた後の利益を圧迫し、最終的には赤字を生じる可能性もあります。

しかし、値下げによる売上高の減少をカバーできるほど大量に商品が売れる場合、売上高の減少が最小限に抑えられ、利益が維持されることもあります。企業は値下げを戦略的に用いる場合、利益率が低下するものの、回転率の向上や在庫の圧縮といったメリットを得ることができます。

BS(貸借対照表)への影響

値下げによって、売上が進み在庫が減少することになります。これにより、BS(貸借対照表)では「在庫」の項目が減少します。具体的には、商品の在庫が売れた分だけ減り、その分「売掛金」や「現金」などの資産が増加します。

また、値下げ後の商品が全て売れ残る場合、残存在庫の評価が見直され、評価損が発生することがあります。これもBSにおける「棚卸資産」の評価額に影響を与え、場合によっては減損処理を行う必要が生じます。

値下げ時の決算仕訳

値下げを行った場合、まずは売上高が減少するため、その分の売掛金や現金の入金が少なくなります。仕訳としては、売上が減少した場合に、売掛金や現金の減少を記録することになります。また、値下げをした分、原価率に対する利益が圧迫されるため、その影響を損益計算書に反映させます。

実際の仕訳としては、例えば次のようなものが考えられます。

売上高(減少分) / 売掛金(または現金)

また、値下げによって残存在庫に評価損が発生した場合、棚卸資産の評価替えや減損処理を行い、次の仕訳を行います。

棚卸資産評価損 / 棚卸資産

値下げを戦略的に使うためのポイント

値下げを行う際には、単に価格を下げるのではなく、売上目標や在庫の消化スピードを考慮することが重要です。また、値下げをしても利益率が下がらないように、原価の管理や仕入れコストの調整も行う必要があります。さらに、値下げの際にはマーケティング戦略や広告、キャンペーンを組み合わせて、消費者に対して価値を提供しつつ、利益を確保することが求められます。

まとめ

小売業における値下げは、PLやBSに大きな影響を与えます。特に原価(下代)のままで上代を下げる場合、売上総利益が減少するため、会社全体の収益性に影響を与える可能性があります。しかし、適切な戦略を立て、値下げをうまく活用することで、在庫の圧縮や回転率の向上を図り、企業の利益に繋げることも可能です。決算仕訳を適切に処理し、経営状況を常に把握することが重要です。

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