未実現利益の額の算出方法とその計算式の理解

企業と経営

連結財務諸表の作成において、未実現利益の額の算出は非常に重要です。特に、親子会社間で取引がある場合、子会社の期末商品棚卸高に含まれる未実現利益を消去する必要があります。本記事では、未実現利益の算出方法とその計算式、そしてなぜ1.2で割るのかについて詳しく解説します。

1. 未実現利益とは?

未実現利益とは、親会社と子会社間での取引において、まだ外部に売却されていない商品に含まれている利益のことを指します。これらの利益は、親子会社間の取引が外部の第三者に対する売上として実現するまでは、連結財務諸表には含まれません。そのため、未実現利益は消去される必要があります。

例えば、親会社が子会社に商品を販売し、子会社がその商品を期末時点でまだ保有している場合、その商品の価格には親会社が設定した利益が含まれています。この利益は、親子会社間で消去する必要があります。

2. 仕入原価に利益を付加した販売の計算式

親会社が子会社に商品を販売する際、仕入原価に一定の利益を上乗せして販売します。具体的には、親会社が仕入原価に対して20%の利益を付加して子会社に販売していると仮定します。この場合、子会社の期末商品棚卸高には、その20%の利益が含まれています。

そのため、未実現利益の額を算出する際には、子会社の期末棚卸高からその利益分を除去しなければなりません。これを実現するために必要なのが、計算式の「1.2で割る」というステップです。

3. なぜ1.2で割るのか?

計算式「144,000千円 ÷ 1.2 × 0.2 = 24,000千円」では、まず子会社の期末商品棚卸高である144,000千円を1.2で割る理由は、親会社が販売する際に仕入原価に対して20%の利益を上乗せしているからです。

この1.2で割るという操作は、子会社が購入した商品価格が、親会社の仕入原価にどれだけ利益が加算されたかを考慮するためです。すなわち、1.2は親会社が販売価格に上乗せした利益率を示しており、これを使うことで、利益部分を取り除いた「実際の仕入原価」を算出することができます。

4. 計算例での解説

具体的な計算例を使って、なぜ1.2で割るのかを確認しましょう。

例えば、親会社が仕入原価4,570,000千円に20%の利益を上乗せして子会社に販売した場合、子会社が購入した商品は以下のように計算されます。

仕入原価 利益 販売価格
4,570,000千円 914,000千円 5,484,000千円

ここで、未実現利益を消去するために、子会社が保有している期末商品棚卸高に含まれる利益を求めるためには、販売価格から原価を取り出す必要があります。そのため、販売価格(5,484,000千円)を1.2で割り、利益部分を計算します。

5. 未実現利益の消去の重要性

未実現利益を消去する理由は、親子会社間の取引に含まれる利益が外部の第三者に対して実現していないからです。このまま未実現利益を連結財務諸表に含めると、親会社と子会社間での取引が外部取引と誤解され、実際の業績が過大に報告されてしまうことになります。

そのため、親子会社間での取引で発生した未実現利益は、連結財務諸表の作成時に必ず消去しなければなりません。この消去が正確に行われることで、企業グループ全体の実際の利益を正しく把握することができます。

まとめ: 未実現利益の消去とその計算式の理解

未実現利益の額を正確に算出することは、連結財務諸表を作成する上で非常に重要です。親子会社間での取引がある場合、その取引に含まれる利益は消去されなければなりません。計算式での1.2で割る操作は、親会社が子会社に販売した商品に含まれる利益を取り除くためのステップであり、これにより正確な未実現利益の額が求められます。

この理解を深めることで、未実現利益の消去がどのように行われ、連結財務諸表の正確性が保たれるのかをしっかりと把握できるようになります。

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