原価計算や差異分析を学ぶときに出てくる「単価差」と「数量差」。どちらも重要な概念ですが、最初は「なぜこういう式になるのか?」と混乱しやすいポイントです。この記事では、それぞれの意味や覚え方を具体例を交えて分かりやすく解説します。
単価差とは?
単価差は、材料や商品の価格の変動によってコストがどれだけ変化したかを表すものです。式は以下の通りです。
単価差 = (前月単価 - 当月単価) × 当月数量
つまり、もし仕入れる数量が同じだったとしても、単価が上がったり下がったりすることでコストが増減することを示しています。
例えば、前月の材料単価が100円、当月の単価が120円、数量が50個だった場合。
(100 - 120) × 50 = -1,000円
この場合は「単価が上がったので1,000円分コスト増」と理解できます。
数量差とは?
数量差は、使用した数量の増減によってコストがどれだけ変わったかを示すものです。式は以下です。
数量差 = (前月数量 - 当月数量) × 前月単価
つまり、単価が同じだったと仮定して、数量の違いだけでコストにどれだけ差が出るかを見ています。
例えば、前月数量が40個、当月数量が50個、単価が100円だった場合。
(40 - 50) × 100 = -1,000円
この場合は「数量が増えたので1,000円分コスト増」となります。
単価差と数量差を組み合わせると?
実際のコスト差異は、単価差と数量差の合計で説明できます。なぜなら、コストの変動は「単価の変化」と「数量の変化」の両方から成り立つからです。
例えば。
- 前月単価:100円、前月数量:40個
- 当月単価:120円、当月数量:50個
総コストの差は。
前月:100円 × 40個 = 4,000円
当月:120円 × 50個 = 6,000円
差額:2,000円増
この2,000円の内訳は、
・単価差 = (100 – 120) × 50 = -1,000円(価格上昇の影響)
・数量差 = (40 – 50) × 100 = -1,000円(数量増加の影響)
合計 = -2,000円 となり、総差額と一致します。
覚え方のコツ
式を覚えるよりも「何を分析しているか」で理解するのがコツです。
- 単価差:もし数量が変わらなかったら、価格の違いでどれだけ変わった?
- 数量差:もし単価が変わらなかったら、数量の違いでどれだけ変わった?
このように「もし片方が同じだったら」と考えると理解しやすくなります。
まとめ
単価差と数量差は、コストの変動を「単価の影響」と「数量の影響」に分けて分析するための考え方です。式は以下のように整理できます。
- 単価差 = (前月単価 – 当月単価) × 当月数量
- 数量差 = (前月数量 – 当月数量) × 前月単価
具体例で考えるとイメージがしやすく、実際の原価管理や経営分析に役立ちます。
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