法人経営において、役員の退職や退職金の処理は、タイミングや税務の観点から慎重な判断が求められます。特に「決算後に2月末で退職したことにできるのか?」「退職金を未払計上して、支払いは後日でもいいのか?」という相談は多く寄せられます。
この記事では、法人の2月決算において、4月の申告時点で2月末退職とすることの可否や、役員退職金の未払計上・支払タイミング・登記手続きの実務ポイントを詳しく解説します。
2月末退職として今から処理することは可能か?
結論から言えば、条件を満たせば「2月末退職」として処理することは可能です。ただし、下記のような要件を満たす必要があります。
- 退職日を2月末とする社内決議書類が整っている
- 2月末に退職したことを証明できる証憑(議事録・辞任届など)がある
- 退職金の支給額が明確かつ、支払意思がある(実態が伴っている)
書面の整備が肝心であり、「さかのぼって退職させること」は原則可能ですが、実体が伴っていない場合には否認リスクがあります。
退職金を未払計上し、支払いを後日とすることは認められる?
法人税法上、一定の条件を満たせば役員退職金の未払計上は認められています。
未払退職金が損金算入できる要件:
- 退職が事実であること
- 退職金額が合理的な算出根拠に基づくこと
- 支払期日が確定している(例えば「翌期○月○日支払予定」と明記)
ただし、「未払」としながらも支払意思・支払計画が全くない場合は、税務署に否認されるリスクがあります。
退職金額の設定は慎重に!過大認定されない基準とは
役員退職金は損金にできますが、「常識の範囲を超えた金額」は税務署により過大認定され、否認される可能性があります。
よく用いられる計算式。
退職金の目安額 = 最終役員報酬 × 支給月数 × 功績倍率(通常2.0~3.0)
支給月数は勤続年数と役職に応じて設定され、功績倍率は社内規定や業種の慣例に準じます。
たとえば、
例:
月額報酬50万円、在任期間10年、功績倍率2.5の場合
退職金=50万円×10年×2.5=1,250万円
このように合理的に計算されていれば、税務上も比較的認められやすいです。
登記手続きはいつまでに必要?
取締役が辞任した場合、2週間以内に変更登記をする義務があります。
今回のように「今から2月末退任としたい」場合でも、辞任届の日付が2月末であれば、登記申請時にその日付を反映することが可能です。ただし、登記の遅延が続くと法務局から指摘される可能性があるため、できるだけ早急に提出しましょう。
実務処理の流れ(スケジュール例)
スムーズな処理を行うには、以下のような流れを意識しましょう。
- ① 退職に関する取締役会議事録または辞任届を作成(2月末日付)
- ② 退職金支給決定書を作成し、金額と支払予定日を明記
- ③ 退職金を未払金として2月期決算に計上
- ④ 役員変更登記を申請(4月上旬まで)
- ⑤ 実際の退職金支払(予定日に合わせて振込)
書類作成や会計処理のミスを避けるため、税理士や司法書士と相談しながら進めることを強く推奨します。
まとめ:2月末退職処理は今からでも可能。ただし根拠と実態が重要
法人役員の退職と退職金の処理については、「書面の整備」「金額の妥当性」「支払意思の明確化」が鍵となります。
今回のように4月時点で「2月末退職」とすることは可能ですが、事実関係が明確であることと、処理が適切であることが条件です。
税務リスクを避けるためにも、専門家のアドバイスを受けつつ、正しい手順で申告・登記を行うことが安心です。