簿記2級では、建物を期中に売却する際の減価償却の取り扱いや仕訳について理解しておくことが重要です。特に、売却時の減価償却を月割りで求める際に原価償却累計額がどのように仕訳に影響するか、今回はそのポイントを詳しく解説します。
建物を売却する際の減価償却の計算方法
建物などの固定資産を売却する際、期中における減価償却は、売却日までの期間に対応する部分を月割りで計算します。通常、減価償却はその年度分を年単位で計算しますが、売却が期中の場合は売却月までの減価償却額を求める必要があります。
例えば、建物の購入時の原価が100万円で、耐用年数が20年、減価償却方法が定額法であった場合、年ごとの減価償却額は5万円となります。この計算に基づき、売却日までの月割り分を求め、当期の減価償却額として仕訳に反映させます。
原価償却累計額は仕訳に登場しない?
建物を売却する際の仕訳では、原価償却累計額が登場しないのではないかと考えるかもしれませんが、実際には重要な役割を果たします。売却時には、まずその建物の帳簿価額(原価からこれまでの減価償却累計額を差し引いた額)を求めます。
例えば、売却時に建物の帳簿価額が60万円だとすると、その建物の減価償却累計額を仕訳に登場させて、売却益や売却損を計算します。具体的には、売却時の仕訳で「建物の売却益」または「建物の売却損」を計上するために、累計償却額が必要となります。
売却時の仕訳例
建物の売却に伴う仕訳の例として、以下のような仕訳を考えます。例えば、購入原価が100万円、減価償却累計額が40万円、売却金額が70万円だった場合の仕訳は次の通りです。
1. 建物(資産)100万円(売却時に売却額を計上)
2. 減価償却累計額(引当金)40万円(これまでの減価償却額を引く)
3. 現金(売却金額)70万円(現金の入金を記録)
4. 売却益(売却金額と帳簿価額との差額)10万円(利益の計上)
月割り減価償却を行うタイミングと仕訳の注意点
月割りで減価償却を行う場合、売却日の月に合わせて減価償却額を計算する必要があります。売却月の減価償却を計算する際は、1ヶ月分として割り出し、実際の仕訳に組み込みます。例えば、売却月の減価償却額が1万円だとすると、その金額を「減価償却費」に加算して仕訳します。
また、売却後の建物については、今後の減価償却を行う必要はなく、減価償却累計額もその時点で更新されます。売却後の残高として、適切に処理されます。
まとめ
建物を期中に売却する際、減価償却の計算は月割りで行い、その金額を仕訳に反映させることが重要です。原価償却累計額は直接仕訳には登場しませんが、帳簿価額を求めるためには欠かせない要素です。売却時の仕訳を正確に行うことで、利益や損失を適切に計上することができます。
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