税効果会計におけるDTA(繰延税金資産)計算は一見複雑に思えるかもしれませんが、正しい理解を深めることが合格への近道です。今回は、「減価償却費の損金算入限度超過額」に関する問題を通して、税効果会計のDTAの計算方法とその考え方について解説します。
1. DTAとは?
DTA(繰延税金資産)とは、将来において税金が軽減されることが予想される金額を指します。税効果会計では、企業の損金算入限度を超過した減価償却費などに関連した一時差異がDTAとして認識されます。
このDTAは、税効果会計の基本的な手法の一つで、税金が後で支払われる可能性があるため、資産として計上されます。
2. 質問の内容と誤解
質問者が挙げた問題では、前期と当期の減価償却費の損金算入限度超過額を基に、DTAを求める方法について疑問が出ています。特に、なぜ期末の一時差異のストック値(累積残高)を使うのか、という点です。
解答者が示した計算では、「前期末13,000円×40% = 5,200円」とし、当期末の18,000円に対しても同様に計算されています。これが一時差異のストック値を表している理由は、一度発生した一時差異が累積的に影響を与えるからです。
3. 発生額とストック値の違い
質問者が「発生額」として計算をした理由は、直感的にその期の変動部分に注目しているからです。しかし、税効果会計では、税効果が累積的に計算されるため、期末の残高が重要となります。
発生額とストック値の違いは、発生額はその期における一時的な差異を意味しますが、ストック値は累積された差異を意味します。そのため、期末のDTAは「減価償却費の損金算入限度超過額」に基づいて累積していきます。
4. 計算方法の実際
解答通りに計算すると、前期と当期のDTAは次のように求められます。
- 前期末13,000円×40% = 5,200円(DTA)
- 当期末18,000円×40% = 7,200円(DTA)
したがって、前期と当期を合算して12,400円になることはありません。このように、累積した一時差異を基にDTAを計算することが重要です。
まとめ
税効果会計におけるDTAの計算では、発生額だけでなく累積された一時差異(ストック値)を基に計算する必要があります。質問者が抱えた誤解を解くことで、正しい税効果会計の理解が深まり、今後の試験や実務において有利になります。ぜひ、税効果会計の基本を再確認し、しっかりと理解を深めてください。
コメント